2020.08.13
星空撮影初心者におすすめ!Eマウント用タムロン17-28mm F2.8 (Model A046)で楽しむ星景撮影【後編】
星空写真家・タイムラプスフォトグラファー・映像作家の成澤 広幸です。星景写真、天体写真、タイムラプス(昼夜問わず)を中心に撮影をしています。前後編にわたってお伝えしているレビューの後編では、フルサイズミラーレス用ソニーEマウント大口径超広角ズームレンズ TAMRON 17-28mm F/2.8 Di III RXD (Model A046)を使って、魅力的な星景写真を撮るための撮影テクニックや機材の紹介をしていきます。
一枚目の写真( 焦点距離:17mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:25秒 ISO感度:10000、AWB、Photoshop CCで画像処理)
初夏の海と星空を撮影しました。とても美しい星景だとは思いますが、テーマ性としてはイマイチかもしれないと思っています。星空に重きを置くか、風景に重きを置くか、撮影者のバックボーンによってアプローチは変わり、どちらが正解ということはないと思っています。星景写真において最初に選択するのがその2択で、それによって表現が変わります。この後にお見せしていく作例には、そういった観点があっての構図だということを念頭に置きながら見てみてください。
星空撮影では、空一面をいれるような、単調になりがちな構図にも変化をつけるポイントがあります。撮影場所を変え、ちょうど干潮になるころを狙って海岸に出ました。同じく、
1.自分のいる場所が暗いこと
2.レンズを向ける方角が暗いこと
この2点を確認します。干潮時刻になると、あちこちに水たまりができて水面に星が写り込み、満潮時には見えない岩場が姿を現します。
黒い岩場の中に、ひとつだけ白いテトラポットの残骸のようなものがありました。暗闇の中で目立っていたので構図のド真ん中にいれてみました。こうした「何か」と「星空」のコラボが星景写真の基本スタンスだと思います。昼間の風景では存在価値に気づかないものでも、暗闇の中ではこのように個性を放つことがあります。こうした荒廃としたものと星空の相性はとても良く、大好きなのです。なお、干潮時に撮影をする際はとにかく足元が滑るのでご注意ください。
撮影に慣れてきた方におすすめしたい撮影テクニックをご紹介していきます。
星景写真ではソフトフィルターを使うことで星をにじませ、「星座感」を出すことでゴージャスな星空を演出できるのですが、こちらの写真はケンコー・トキナーから発売されているソフトフィルター「プロソフトンクリア」を使用しての一枚です。
これまでは星がきれいに丸くにじむということで「プロソフトンA」が定番でしたが、地上に大きな点光源が膨らみすぎたり、地上風景にもソフトがかかりすぎてぼんやりしてしまうなどのデメリットがありました。今回使用した「プロソフトンクリア」はソフトの効果を半分程度に抑えたソフトフィルターということで、適度に星をにじませながらも、地上風景はシャープに写し出すことができます。この構図の真ん中にある点光源もこの程度なら我慢できるレベルだと思います。これなら夜景を入れた撮影にも使えますので、新しい星景写真の定番ソフトフィルターになると思いました。TAMRON 17-28mm F/2.8 (Model A046)は前玉が出っ張っていないのでφ67mmのフィルターが使えますから、こうした撮影との相性も良い印象です。
大きなレンズに大きなカメラを使えば良い写真が撮れる。それは当然の結果だと思いますが、小さいカメラと小さいレンズで良い写真を撮りたいですよね。今回、実際に17-28mm F/2.8で星空撮影をしてみて、それが可能ということを思い知りました。こんなに小さいレンズでここまでの画質を実現できる時代になったんだなぁ・・・としみじみ。軽量なレンズとカメラのコンビなので荷物は少なくて済み、自然とバッグから取り出す回数も増えます。撮影回数が上がるとそれだけ良い写真を残せる確率が上がる訳です。
星空入門機としてこれほど優秀なレンズはなかなかないのではないでしょうか。「ソニーのミラーレス用カメラで星空撮影を始めたい」「ソニーで星空が撮りたい」という人に真っ先におすすめしたいレンズです。
そして、小型・軽量なサイズにも関わらず、平坦性があり周辺光量が豊富なので、価格以上の性能が秘めらており、初心者だけでなく中上級者にもおすすめできます。今後も写真・動画を含めて私の撮影で役立つレンズだと思います。
Hiroyuki Narisawa 成澤 広幸
1980年5月31日生まれ。北海道留萌市出身。埼玉県在住。 星空写真家・タイムラプスクリエイター・YouTuber。公益社団法人日本写真家協会(JPS)正会員。富士フイルム・アカデミーX講師、ニコンNPS会員。全国各地のカメラ専門店・量販店で星空撮影セミナーを多数開催。カメラ雑誌・webマガジンなどで連載を担当。 星空写真全般(星景・天体)と、幅広い被写体のタイムラプスを撮影。特に「Holy Grail」と呼ばれる夕焼け〜星空〜朝焼けのタイムラプス表現を得意とする。 写真スタジオ、天体望遠鏡メーカーでの勤務の後、2020年4月に独立。動画撮影・編集技術を磨くべくYouTuberとしての活動を本格的にスタート。さまざまな情報発信に努めている。
記事で紹介された製品
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17-28mm F/2.8 Di III RXD a046(Model )
17-28mm F/2.8 Di III RXD (Model A046)は抜群の携帯性と高画質を両立させた、ミラーレス専用設計のソニーEマウント用大口径超広角ズームレンズです。クラス最小・最軽量を達成し、コンパクトで持ち運びしやすいため、街中や旅先の建造物から山岳の写真までさまざまな風景を気軽に撮影することができます。 特殊硝材LD (Low Dispersion:異常低分散)レンズやXLD (eXtra Low Dispersion)レンズを贅沢に使用し、色収差を大幅に抑制。コンパクトボディながら優れた光学性能を発揮します。さらに広角端17mmでの最短撮影距離は0.19mと、超広角ならではのパースペクティブを活かした近接撮影も可能です。 AF駆動には高速・精密なステッピングモーターユニットRXD (Rapid eXtra-silent stepping Drive)を搭載。加えて、簡易防滴構造や防汚コートを採用するなど、アウトドアシーンでも快適な撮影をサポートします。このレンズがフットワークを軽くさせ、あなたを新たな景色へと連れだします。