2020.08.11
星空撮影初心者におすすめ!揃えるべき機材とタムロン17-28mm F2.8 (Model A046)実写レビュー【前編】
星空撮影初心者におすすめ!揃えるべき機材とタムロン17-28mm F2.8 (Model A046)実写レビュー【前編】
星空写真家・タイムラプスフォトグラファー・映像作家の成澤 広幸です。星景写真、天体写真、タイムラプス(昼夜問わず)を中心に撮影をしています。はじめてタムロンさんのレンズブログで執筆させていただくことになりました。過去のブログを見返すと、同じく星空を撮影している写真家では、前田徳彦氏、小林幹也氏、北山輝泰氏などの著名人が担当されているではありませんか・・・。名だたる星景写真家と同じ舞台で活動できることに喜びを感じずにはいられません。ぜひ諸先輩方による過去のブログもご覧ください。
さて、今回はフルサイズミラーレス用ソニーEマウント大口径超広角ズームレンズTAMRON 17-28mm F/2.8 Di III RXD (Model A046)で撮影した星景写真の作例と、使用した感想をご紹介したいと思います。
特に星空撮影初心者の方向けに、このレンズをおすすめするポイントだけでなく実際に星空撮影をする際に必要な機材や注意点なども交えて前編・後編に分けてご紹介します。
一枚目の写真( 焦点距離:17mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:25秒 ISO感度:6400 AWB)
・Kenkoプロソフトンクリア使用、Photoshop CCで画像処理
構図の約半分ほどを木で埋めることにより窮屈さを演出し、南の天の川と山の稜線を入れることで構図に広がりと奥行をもたせました。構図の左に輝く星は木星と土星です。ソフトフィルターを使用すると四隅では輝星が楕円に歪んでしまうため、楕円が気になりすぎない程度のところまで内側に配置することに気を使いました。
製品名: LS-254C+LH-30 LSレンジャーシリーズ三脚 LH雲台セット Leofoto
メーカー:Leofoto(レオフォト)
製品URL: https://widetrade.jp/leofoto/ls-254clh30/
製品名: 天体観測用ライトSG-L02
メーカー:Vixen(ビクセン)
製品URL: https://www.vixen.co.jp/product/71089_8/
製品名: Aquila レンズヒーターEL
メーカー:AstroArts(アストロアーツ)
製品URL: https://www.astroarts.co.jp/shop/showcase/heater_aquila/index-j.shtml
「どのレンズが星空撮影に向いているのかわからない」「星空向きと言われるレンズはどれも高価で大きい」など、星空撮影初心者の方が最初に悩むことのひとつがレンズ選びだと思います。星空撮影用と言っても、星空だけを撮影するわけでもないですし、比較的安価で小型・軽量で、昼夜を問わずに使用できるレンズはないものだろうかと悩む方も多いと思います。そして、その答えのひとつがTAMRON 17-28mm F/2.8 Di III RXD (Model A046)であると言えます。
このレンズはフルサイズ対応のソニーEマウント用として発売されている超広角ズームレンズです。今回このレンズを使用して実際に星空撮影をしてきたのですが、結論として、入門機として星景撮影初心者の方だけでなく、登山などで荷物を軽くしたい方、重い機材は苦手という女性の方へも、おすすめしたいレンズです。もちろん、中上級者の方でも様々な用途で活躍するレンズです。それではこのレンズの魅力をお伝えしていきましょう。
星空撮影で重要なのはまずF値です。おおよその設定は、
1. ISO 6400
2. シャッタースピード20~30秒
3. F2.8
という設定で撮影することが多いです。
仮にシャッタースピード20秒で適正露出だとして、F値がF4になった場合、ISO感度を12800にしないと同じ露出を得ることはできません。ISO12800まで上げるとノイズが気になるので避ける人も多いでしょう。別のパターンでシャッタースピード40秒だと同じ露出になりますが、そうすると地球の自転(日周運動)によって星が点で写らなくなってしまいます。そのため、星空撮影では「F2.8のレンズを使う」というのがひとつの黄金設定として基準になるのです。
私がこのレンズに対して好感を持てたポイントとして、細かいことなのですが「ピントリングの位置」があります。
星景写真では高湿度・低温で撮影する状況が多く、レンズの結露防止のためにレンズヒーターを巻きます。このレンズヒーター、レンズフード付近に巻いて前玉を温めることで最も効果を高められるのですが、多くのレンズがフード付近にピントリングがあるため、レンズヒーターを巻くとピントリングが隠れてしまい、気づいたらピントがずれていたとか、湿度が変化してピントを合わせ直したいときに一度レンズヒーターを外さなければならないなど、いろいろと面倒なことが起こるのです。
ですが17-28mm F2.8はピントリングが手前の位置にあるため、レンズヒーターを巻いた際にピントリングが隠れません。実は星景写真の定番レンズとして名高いTAMRON SP 15-30mm F/2.8 Di VC USD G2 (Model A041)も同じ仕様になっていて、非常に細かい部分ではありますが、実際に星空撮影をする立場から見て好印象な設計です。
どうでしょうか?カメラが1200万画素程度なのでもっと高画素なカメラを使うと違ってくるかもしれませんが、目立って星像が崩れている感じはありません。ダメなパターンだといろいろな収差で星が点にならないのですが、この結果はなかなか凄いと思いました。前玉の小さいレンズで小型・軽量、そして10万円程度という比較的安価な超広角ズームレンズにも拘わらず、これだけ平坦性が出せるのはやはり「ミラーレス専用設計」の恩恵なのでしょう。しかも、この周辺減光の少なさも注目すべきポイントです。「こんなに小さくて大丈夫かな?」という不安はここですべて払拭され、「これならイケる!」という確信に変わりました。
さて、前編はここまでです。星空撮影に17-28mm F2.8 (Model A046)が最適なポイントを中心に紹介させて頂きました。後編は、実写した作例に加え、より魅力的な星景写真を撮るための撮影テクニックなども合わせてお伝えします。
Hiroyuki Narisawa 成澤 広幸
1980年5月31日生まれ。北海道留萌市出身。埼玉県在住。 星空写真家・タイムラプスクリエイター・YouTuber。公益社団法人日本写真家協会(JPS)正会員。富士フイルム・アカデミーX講師、ニコンNPS会員。全国各地のカメラ専門店・量販店で星空撮影セミナーを多数開催。カメラ雑誌・webマガジンなどで連載を担当。 星空写真全般(星景・天体)と、幅広い被写体のタイムラプスを撮影。特に「Holy Grail」と呼ばれる夕焼け〜星空〜朝焼けのタイムラプス表現を得意とする。 写真スタジオ、天体望遠鏡メーカーでの勤務の後、2020年4月に独立。動画撮影・編集技術を磨くべくYouTuberとしての活動を本格的にスタート。さまざまな情報発信に努めている。
記事で紹介された製品
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17-28mm F/2.8 Di III RXD a046(Model )
17-28mm F/2.8 Di III RXD (Model A046)は抜群の携帯性と高画質を両立させた、ミラーレス専用設計のソニーEマウント用大口径超広角ズームレンズです。クラス最小・最軽量を達成し、コンパクトで持ち運びしやすいため、街中や旅先の建造物から山岳の写真までさまざまな風景を気軽に撮影することができます。 特殊硝材LD (Low Dispersion:異常低分散)レンズやXLD (eXtra Low Dispersion)レンズを贅沢に使用し、色収差を大幅に抑制。コンパクトボディながら優れた光学性能を発揮します。さらに広角端17mmでの最短撮影距離は0.19mと、超広角ならではのパースペクティブを活かした近接撮影も可能です。 AF駆動には高速・精密なステッピングモーターユニットRXD (Rapid eXtra-silent stepping Drive)を搭載。加えて、簡易防滴構造や防汚コートを採用するなど、アウトドアシーンでも快適な撮影をサポートします。このレンズがフットワークを軽くさせ、あなたを新たな景色へと連れだします。