ものづくりCOLUMN2 Tamron's Unique Technology

技術革新への道

時代の波

21世紀に入り、カメラ産業に大きな変化の波が訪れた。急速なデジタル化によって、自動化・電子化が加速し、より精度の高い性能が要求されるようになってきたのである。それはカメラボディに限った話ではない。円筒形をしたレンズは、昔も今も一見それほど変わっていないように見える。しかし、その内部はかつてとは別物といっていいくらいに電子化され、複雑なメカニズムが組み込まれるようになっていったのである。こうした時代の波は、タムロンに大きな決断を迫るものでもあった。

写真:複雑なメカニズムが組み込まれた手ブレ補正機構「VC」ユニット

大いなる決断

それまでと変わらず、革新的な高倍率ズームを世に送り出していくためには、タムロン自身が大きく変わる必要があった。2005年、高性能な手ブレ補正機構と、オートフォーカスのためのアクチュエーター(モーターなどの駆動装置)の内製化を目指し、要素技術開発を進めるための新組織、基礎開発本部が発足する。変わらないために、変わり続ける――これは、よりコンパクトに、より高画質に、タムロンならではの独創的なレンズを作り続けるための決断であった。

写真:タムロン独自の「3コイル方式」による手ブレ補正機構の初期試作品

理想を追求するために

新しい技術をタムロン内部で開発するためには、各分野でのスペシャリストが必要だ。当初、10名弱で発足した基礎開発本部は、アクチュエーターや、それを制御するためのソフトウェアなどのスペシャリストたちを招き入れ、現在では総勢40名ほどで、緊密な連携をしながら開発に取り組むチームを構成している。内製化と大胆な組織編成の決断があったからこそ、そこから独創的な技術を組み込んだ画期的なレンズが、続々と生み出されることになったのである。

写真:リング型超音波モーター「USD」を構成する各パーツ