2020.04.30
【#タムロンおうちフォト】写真家 並木 隆氏がタムロン35mm F2.8 (Model F053)で撮るおうち写真:マクロ編
お料理編: 写真家 大村 祐里子氏がタムロンSP 90mm F2.8 (Model F017)で撮るおうち写真
パパ編: 写真家 鈴木 啓太 urban氏がタムロン SP 35mm F1.4 (Model F045)で撮る家族写真
ママ編: フォトグラファー 鈴木 カナエ氏がタムロン17-35mm F2.8-4、35-150mm F2.8-4で撮る家族写真
花がたくさん咲いている時期なのに、外で撮影することもままならず悶々としている方も多いと思います。そんな時こそ、ご自宅にあるもので“おうちフォト”を楽しんでみてはいかがでしょうか。
TAMRON 35mm F/2.8 Di III OSD M1:2 (Model F053)なら、ワーキングディスタンスが短く、テーブルの上に置いてあるものでも座ったままで撮影できるので気軽に撮影が楽しめます。
一枚目の写真( 焦点距離:35mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/640秒 ISO感度:2500)
室内撮影でポイントとなるのは被写体の探し方です。これはサンキャッチャーのようなガラスのビーズです。窓からの光が透過光で透ける位置を探すことで、クリアな印象を強くしています。また、背景のキラキラは室内照明ですが、これがビーズと重なるとキラキラの印象の方が強くなってしまうので、ビーズの対角線上の反対側に配置されるようアングルを変えながらフレーミングしています。
見慣れているご自宅にも実は被写体はたくさんあります。お洒落なものやキレイなものでなくても構いません。普段の生活で使っているものでいいのです。この時に大切なことは、被写体を観察して気になった部分にぐっと寄ってみることです。
例えばテーブルの上にナイフがあります。柄の部分にある模様でもいいですし、刃先でもいいですね。刃先でも視点を変えると電灯が映り込んでいるかもしれません。このように気になる部分を探し出せたら、そこにピントを合わせてみましょう。切り取るのはその部分だけで構いません。それがナイフだとわかるように撮る必要もありません。説明を省くことで主題を明確にできますし、一部分を切り取ることができるのはマクロレンズだからこそなのです。
注意したいのは、寄れば寄るほどピントの合う範囲(被写界深度)はどんどん浅くなるので、ピントが合ったと思ってシャッターを押しても、実際に撮影した写真拡大してみるとずれているという事も少なくありません。ピントがシビアな場合は、マニュアルフォーカスでしっかり合わせ、撮影したら拡大表示をして確認してみましょう。合っていなかったらまた撮ればいいのです。落ち込む必要はありません。じっくり撮影に取り組めるところも“おうちフォト”の楽しみ方の一つです。
ボケの大小は絞り値以外に、焦点距離と撮影距離(ピント位置からセンサー面までの距離)でも変わります。特に変化が大きいのが撮影距離で、寄れば寄るほど大きくボケるようになります。35mmは焦点距離が短くボケないイメージがあるかもしれませんが、ボケないのは寄りが足りない場合がほとんどです。もう少しぼかしたいなと思ったら、ちょっとでいいから被写体に寄ってみてください。
また、背景によってもボケは大きく変わります。照明などを背景に入れれば丸いボケになりますし、それが離れていればいるほど大きなボケになりますし、複数あればキラキラしたボケになります。ボケたからいいやではなく、どれくらいの距離のどんなものがボケているのかを確認すると、今後の撮影でも必ず役に立ちます。
寄ってもボケない時はカメラアングルが高すぎたり、背景が離れすぎている、もしくは前ボケとなるような手前の被写体が入っていないことが考えられます。
また、アングルを大きく変えると、同じ被写体でも全く異なる見え方になります。35mm F2.8はワーキングディスタンスが短いので、真上や真下といった極端なアングルでも撮影できます。
これはオーリブオイルの入っている瓶ですが、横から撮るだけでなく、手に持って真下からレンズを向けてみると全く違う印象に仕上がります。また、マニュアルフォーカスでピントの位置を徐々にずらしていくとさらに違う印象に仕上がります。
先に被写体の説明をしなくていい、部分的に切り取って構わないと述べたのは、こう撮らなくてはいけないという先入観がなくなると、ひとつの被写体でもたくさんの表現が生まれてくるからです。いろいろな角度からいろいろな部分を切り取ることで、個性豊かな作品が生まれてきますし、余裕が出てきたら同じフレーミングでもピント位置を変えてみてください。たったそれだけでも作品に変化が出ますし、それができるのがマクロ撮影の魅力であり面白さなのです。
ご自宅にいる時間が長い今こそ、普段気付かない部分に目を向けるチャンスです。お茶碗の模様や縁の部分、水切りザルのメッシュなど、普段使っているけれど被写体として見ることはないと思います。洗面台でコップに水を落としてみたらどんなふうに写るでしょう?コップの底にレンズを被せて室内を見渡したら・・・というように、視点を変えてみることが大切です。絵になる被写体を探そうとするよりも、身の回りの普段使っているものをじっくり観察してみましょう。
TAMRON 35mm F/2.8 Di III OSD M1:2 (Model F053)は、軽量でワーキングディスタンスも短いので、室内で被写体を手で持ちながら色々なアングルで撮影することも可能です。同じ被写体でも背景を変えるだけで写真の雰囲気も変わるので、リビング、廊下、お風呂場、照明のON/OFFなど、いろいろなところで“おうちフォト“を楽しんでみましょう。
Takashi Namiki 並木 隆
1971年生まれ。高校生時代、写真家・丸林正則氏と出会い、写真の指導を受ける。東京写真専門学校(現・ビジュアルアーツ)中退後、フリーランスに。花や自然をモチーフに各種雑誌誌面での作品発表。公益社団法人 日本写真家協会、公益社団法人 日本写真協会、日本自然科学写真協会会員。