2022.01.11
冬の光を浴びながら横浜・みなとみらいを歩く
冬の光を浴びながら横浜・みなとみらいを歩く


冬の時期は1日を通して太陽が低く、また天候も安定していますが、特に午前中は快晴に恵まれることが多いですね。写真は何よりその光自体が重要ですが、それを写しとるレンズの性能も大事な部分です。ぼくは決してレンズマニアな訳ではありませんが、それでも最初の数枚を撮影して画像を確認した瞬間に、このレンズの切れ味をはっきりと感じました。
肉眼で見た以上に物の質感を再現し、かつそこに奥深さを感じます。これまでずっと、同じ焦点距離の従来レンズ、SP 35mm F1.8(Model F012)を使用していましたが、明るさF1.4の本レンズ、Model F045は、圧倒的に大人の表現力を身につけたレンズへ変貌していました。
重さは815g(キヤノン用)。決して「軽い」と感じる訳ではありません。がしかし、軽いだけのレンズに不安を感じた経験はないでしょうか。意味のある重さ。そこに超一級品を届けたいという、設計陣のこだわりを感じるのは、ぼくだけではないはずです。カメラを構えた時にしっかりと両手に感じるその重さが、実は構図決めに役立つということを、シャッターを切るたびに感じます。
銀杏の色合いも少し寂れてきました。旬の鮮やかな色合いから少し時期が外れたころの、何とも言えない季節感。細かな描写もきっちり表現できていて嬉しくなります。
さて、ランチ。可能な限り、ぼくはゆっくりとその時間を過ごします。いつも賑わっている行きつけのこのお店。オーダーしてから15分、ようやく運ばれてきました。テーブルの上をさっと片付けて、真上からと斜め上からと合計10枚ほど撮り分けました。お皿は全部写す必要はありません。あえて見切ります。テーブルとお皿の余白のバランスをうまく調整すればスマートな写真に仕上げることが出来ます。カトラリーは大きさ比較のために。これはちょっとしたコツです。
前ボケが好きで、撮影ではけっこう多用します。被写体の奥側をぼかせない時などは、前ボケを作ることによって奥行き感が表現できます。
女の子はドレスが大好き。非日常感への憧れがあるのだと思います。この2年ほどは結婚式などの集まりが極端に減ってしまいましたが、それでもこのドレス達はハレの日まで待ち続けます。そんな静かな時間を暗めの露出で表してみました。
35mmという焦点距離をスナップで楽しんでいる方は多いと思いますが、実はポートレートにも充分使えます。相手との距離はぐっと近くなり、それこそ2メートル前後でしょうか。会話もできる距離ですし、何より望遠レンズの時のようにふたりの間に誰かが横切ることもありません。
一歩近づく、一歩離れる、そんな細かな動きをダイレクトにコントロールしながら、背景とのバランスを図っていきます。F1.4の圧倒的なボケによる立体感は、撮影していて本当に楽しいと感じます。髪の毛のしなやかな流れに注目しながら、その少し寂しげな目線の先に、この写真を見る人の想像を膨らませる何かを詰め込んでみました。
寒さから逃れるために一瞬だけ室内へ。伝統ある装飾に見惚れながらファインダーを覗きます。ほのかな灯りに浮かび上がるその姿は、外の乾いた空気とはうって変わり、しっとりとした佇まいの写真に仕上がりました。
ぼくは基本的に絞り開放で撮影します。極度に浅い被写界深度をどう自分の感覚でハンドリングするのかを探すのが楽しいのです。開放でずっと撮る、と決めればそれはそれで良いと思うのです。自分自身が楽しくない写真は、他の誰かが見てもきっと楽しいとは思わない、ですよね。
日没は16:30ごろ。一日歩き通して疲れていないわけではありません。でも、Model F045の写りが次々と記録されていくと、疲れを忘れて自分の心の満足度が上がっていくのを感じました。
スナップはとにかく気軽に楽しむこと。
ずっと同じ場所にいて他の通行人の邪魔をしないとか、あからさまに顔がわかるような撮影はしないとか、そういうちょっとした気遣いを守りながら、季節ごとに変化していく街の様子に気づいたり、肉眼では捉えられないボケ味の描写を見て悦に入ったり…。
一人で出かけてもいいし、写真仲間と出かけるのも楽しいものです。もちろん恋人を撮ってあげるのも素敵なことです。このSP 35mm F1.4 (Model F045)は、気軽な撮影を楽しませてくれる一方で、別次元の写りを楽しませてくれる、そんなレンズです。みなさんも是非試してみてください。