2022.01.13
写真家 曽根原 昇氏が、高倍率ズーム タムロン18-300mm F3.5-6.3 (Model B061)富士フイルムXマウント用超望遠域で撮る快適な動物園撮影
高倍率ズームレンズのパイオニアであるタムロンが、満を持して発売した18-300mm F3.5-6.3。このレンズの特徴は、ひとつに35mm判換算450mm相当という普通の望遠ズームレンズとは一味も二味も違った超望遠域までカバーした高倍率ズームレンズであること。もうひとつに、ソニー Eマウントに並んで、富士フイルムXマウント用も用意されたことの2点だと思います。タムロンが富士フイルムXマウント用レンズを出すのは本レンズが初となり、「満を持して」としたのはそれを強調した訳なのです。今回はそんな話題の高倍率ズームレンズを富士フイルムのX-S10との組み合わせで、動物園撮影でどこまで超望遠域が活躍できるかを試してみました。
実際の撮影で使ってみると、たった1本で撮影しながら歩き回れるという軽快さも手伝って、驚くほどたくさんの写真が撮れました。望遠側が35mm判換算で450mm相当までいけるというのは、動物園では予想以上に便利であることに驚いてしまいました。まず、200mmや300mm相当では遠くてとらえきれなかった動物を、狙った通りに面白いほど大きく写すことができます。動物園という場所柄、ほかの入園者の方が前列で楽しんでいるのはよくあることですが、そうした場合でもその後方から、前列を気にせずに撮れます。また逆に、近づいて撮る場合には前ボケが非常に大きくなる特性を活かし、手前の檻や網をほとんど目立たないようにできることにもメリットを感じました。撮影姿勢が不安定になることもありますが、18-300mm F3.5-6.3は光学式の手ブレ補正機構VCを搭載しているので、そんな場合でも手ブレを抑えて撮ることができます。
そして、富士フイルムXマウント用が発売されたことで嬉しいのは、富士フイルム独自のさまざまなフィルムシミュレーションを、シーンに応じて自由に適用できるところです。フィルムシミュレーションとは、現行の富士フイルム製デジタルカメラに搭載されているいわゆる色設定のこと。長年写真用フィルムを扱ってきた富士フイルムならではの、本格的で奥深い色使いを味わえるのはとても魅力的です。
近年、高倍率ズームレンズの画質向上は著しく、目を見張るものがあります。もちろん、最新の高倍率ズームレンズである18-300mm F3.5-6.3も、気持ちいいほどの高画質が実現されています。その性能をソニー Eマウントだけでなく、富士フイルムXマウントでも楽しめるようになったのは本当に嬉しいことです。超望遠+フィルムシミュレーションの合わせ技で、高画質な写真を、レンズ1本で印象的に美しく撮れる時代がやってきました。
Noboru Sonehara 曽根原 昇
信州大学大学院修了後に映像制作会社を経てフォトグラファーとして独立。2010年に関東に活動の場を移し、雑誌・情報誌などの撮影を中心にカメラ誌等で執筆もしている。写真展に「イスタンブルの壁のなか」(オリンパスギャラリー)など。