2023.07.27
福島・新潟を訪れて、森の木々や花に癒やされる旅
福島・新潟を訪れて、森の木々や花に癒やされる旅


写真家の並木 隆です。
富士フイルムXマウント用のラインアップに加わったタムロンの新製品11-20mm F/2.8 Di III-A RXD (Model B060)は、軽量・コンパクトでありながら開放F値F2.8を実現した、APS-C専用の超広角ズームレンズ。今回はこのレンズを相棒に、福島と新潟を巡ってきました。
福島の撮影地は、テレビドラマのロケ地にも使われた公園で、森あり花あり、それでいて平日は訪れる人が少なく、しかも入場料無料という撮影にはもってこいの場所です。数年前にたまたま訪れたのですが、この森の雰囲気にすっかり魅了されてしまいました。木々の間隔や匂いなど、この森の中に入ると撮影することを忘れて360度見渡してしまうくらい落ち着くのです。私にとって癒やしの場所でもあります。
※1枚目の写真
焦点距離:11mm 絞り:F2.8 シャッタースピード:1/30秒 ISO感度:125
使用カメラ:富士フイルムX-T5 フィルムシミュレーション:PROVIA /スタンダード
ピンクアナベルというアジサイが、二つくっついて咲いていたので、その隙間にレンズを入れ、 MFで最短撮影距離にして撮影しています。イメージは特になく、ここにレンズを入れたらどう写るのかなというお試しから、徐々に仕上げていきました。
それでは、癒やしの森の風景をご覧ください。
森を眺めながら川のせせらぎを聞いているだけで癒やされますね。川幅は狭いので水面まで近付いて、超広角レンズならではの遠近感の強調により、手前の草などを大きくフレーミングすることで迫力を出してみました。シャッタースピードが4秒と長いのでもちろん三脚を使用しています。
森の中で寝っ転がってこの景色を眺めながら癒やされたい、という思いを表しました(笑)。雨に濡れた新緑は特に好きなシーンです。ちなみにこの幹は20cmもない若い木ですが、すごい巨木に見えるのは超広角でとらえた遠近感のおかげ。カメラを木の幹にべたっとくっつけるのがポイントです。
一番のお気に入りがこの奥行き感。適度な隙間があって奥まで見渡せるのに、ごちゃごちゃした感じがしないのです。春先にはこの森の中にカタクリやニリンソウなどがぽつぽつと咲きます。群生という規模ではありませんが、その方が自然っぽくて逆に好感が持てます。
ちょうどカシワバアジサイが咲き始めの時期でした。春の花が終わって華やかさはありませんが、新緑のグリーンとの組み合わせは大人の雰囲気を感じます。望遠レンズのような大きなボケは得られませんが、最短撮影距離で被写体に寄って、なおかつ遠くの背景を入れればここまでぼかすことができます。11mmでもぼかせますが、最初は20mm側がオススメです。
新しい品種はありませんが、この公園はかなりの規模の植物があり、つる性のバラなどもあります。杭に巻き付かせているつるバラを下から狙ったカットで、真上に向かってレンズを向けてみました。撮影の体勢はかなりつらいですが、開放F値がF2.8なので、超広角レンズでも前ボケが作れました。このような撮影では、フードをつけていると前ボケが覆われて暗くなってしまうので外しましょう。
アジサイは四分咲きくらいだったかな?この株だけたくさんの花をつけていたので、目線より高いアングルで真上から見るイメージで切り取りました。このようなアングルの自由度の高さも、超広角レンズの魅力のひとつですね。
福島ではアジサイが消化不良だったので、今度は新潟の国営公園に行って撮影した写真をご紹介します。アジサイは雨がよく似合いますが、この時はなぜか快晴に。とはいえ太陽の光もないと大きくなりませんからね。青空と白い雲を背にしたピンクのアナベルがすごくキレイだったので、11mmでたくさん空を取り込んでみました。
お目当てのアジサイを撮りたかったのですが、なぜかその下に咲いているドクダミに惹かれてしまいました。カシワバアジサイのときもそうですが、緑と白のシンプルな組み合わせというのは落ち着きますね。超広角レンズは引き気味でフレーミングすると被写体が小さく写るので、このように見た目ごちゃごちゃしているようなところを切り取ると予想以上にキレイに見えます。
最近の国営公園は花の手入れが素晴らしいですね。同じような背丈の花が密集しているときは、超広角レンズを向けてみることで、花に勢いを感じさせられました。
余談ですが、年間パスポートがあると全国の国営公園で使えるのですが、年間パスポートの値段が場所によって違うというのは今回初めて知りました。
今回の撮影地である福島は「農村公園 四季の里」、新潟で訪れたのは「国営越後丘陵公園」です。どんな場所であっても、初めて行くところではどこにどんな花が咲くのかだけでなく、太陽の位置や、背景にどんなところが入るのかといった、周囲の状況を把握するところから始めます。目についたところから撮り始めてしまうと、もっといいところがあったとしてもそこまで辿り着けないことがあるからです。もうひとつはショップのメニューですね。越後丘陵公園はとにかく蒸し暑かったのですが、アイスとドリンクの種類がたくさんあってどれを頼もうか悩むほどです。結局チョコとメロン以外は全て制覇しましたけど。
11-20mm F2.8のような超広角ズームレンズは画角の変化が少ないので、作品のバリエーションやキレイに撮れる場所はそれほど多くありません。そうなると他のレンズも持って行きたくなりますが、上手に撮れないからとレンズを変えてしまうと、いつもと同じような条件の被写体しか見つけられませんし、いつまでたってもレンズを使いこなすことができません。「今日はこれ一本!」と決めると、そのレンズで撮れる場所を探すようになるので、撮れ高は減るかもしれませんが「このレンズだとこんなところがこういうふうに撮れるんだな。」など、いろいろな気付きが得られます。アングルの上下左右、被写体に近付いたり離れたりする前後の動きをしないと超広角らしさを出すことは難しいですが、これができるようになると、これほど面白いレンズはありません。
みなさんも撮影に出かける際に、タムロン11-20mm F2.8で超広角レンズの世界にどっぷりはまってみてはいかがですか?

Takashi Namiki 並木 隆
1971年生まれ。高校生時代、写真家・丸林正則氏と出会い、写真の指導を受ける。東京写真専門学校(現・ビジュアルアーツ)中退後、フリーランスに。花や自然をモチーフに各種雑誌誌面での作品発表。公益社団法人 日本写真家協会、公益社団法人 日本写真協会、日本自然科学写真協会会員。
記事で紹介された製品
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11-20mm F/2.8 Di III-A RXD b060(Model )
11-20mm F/2.8 Di III-A RXD (Model B060)は、大口径F2.8でありながら小型軽量と高い描写力を実現。コンパクトなAPS-Cサイズミラーレスカメラボディとのバランスもよく、普段使いとして最適です。広角端11mmでは最短撮影距離0.15m、最大撮影倍率1:4と驚異的な近接撮影能力を実現し、パースペクティブの効いたデフォルメ効果を活かしたワイドマクロ撮影が可能。また、AF駆動には静粛性に優れたステッピングモーターユニットRXD (Rapid eXtra-silent stepping Drive)を搭載しており、静止画だけでなく動画撮影にも適しています。加えて、屋外での撮影を考慮した簡易防滴構造や防汚コートを採用するなど、超広角大口径F2.8の高画質を手軽にお楽しみいただくことができる、実用性の高いレンズです。