2024.12.18
ハーフマクロとは?等倍マクロとの違いや使い方を解説
ハーフマクロとは?等倍マクロとの違いや使い方を解説
マクロレンズとは
小さな被写体を大きく写し撮るマクロレンズは、写真表現の可能性を広げるユニークなレンズです。マクロレンズを理解する上で重要な概念が「最大撮影倍率」と「最短撮影距離」です。最大撮影倍率とは、被写体の実物の大きさに対して、カメラのセンサーに写る像の大きさの比率を表します。また最短撮影距離は、ピントが合って見える、被写体とセンサーとの最も近い距離を指します。
この最大撮影倍率が1/2倍(1:2)から1倍(1:1)程度のレンズがマクロレンズと呼ばれ、通常のレンズより被写体に近づいて、細部を大きく撮影できるのが特徴です。中でも最大撮影倍率が1:1のレンズを「等倍マクロ」、1:2のレンズを「ハーフマクロ」と呼びます。これらのレンズを使うことで、肉眼では見えにくい、花びらの繊細な質感や昆虫の複眼などの小さな世界を大きく精細に写すことができます。
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等倍マクロ(1:1)とハーフマクロ(1:2)の違い
等倍マクロとハーフマクロには、それぞれ異なる特徴があります。まず、等倍マクロは実物に近い大きさでセンサーに記録できるため、小さな被写体でも細部まで大きく精細に写し撮ることができます。
一方、ハーフマクロは実物の1/2程度の大きさとなりますが、十分に被写体の細部を表現しながら、周囲の環境や背景もバランスよく取り込める点が特徴です。
また、撮影の難易度としては、等倍マクロは被写界深度が浅いため、ピント合わせには一定の技術と経験が求められます。その点、ハーフマクロは比較的扱いやすいため、これから初めてマクロレンズを使うという方でも、意図通りの写真が撮りやすいという利点があります。
ハーフマクロレンズの作例写真
ハーフマクロレンズはさまざまな被写体に使用でき、ディテールの美しさを引き立たせることができます。以下で代表的な撮影シーンをご紹介しましょう。
草花や植物
花や草木は、ハーフマクロの特徴を存分に活かせる代表的な被写体です。朝露に濡れた花びらの繊細な質感や、葉脈の複雑な模様など、自然界の微細な美しさを鮮やかに切り取ることができます。
また、適度な撮影距離を保てるため、主役となる花や草木と、美しくボケた背景との関係性も印象的に表現できます。さらに、周囲の草花も画角に収めることで、その季節ならではの雰囲気や情景まで伝えられるでしょう。
関連記事:【マクロレンズで楽しむ!花と昆虫の撮り方】レンズの選び方や使いこなすコツをご紹介
昆虫
昆虫の撮影も、ハーフマクロならではの利点が存分に活かせます。ハーフマクロは等倍マクロほど被写体に近づけませんが、その分昆虫を驚かせることなく、姿や行動を観察できます。
たとえば蝶の羽の鱗粉、トンボの複眼の輝き、カマキリの前脚の特徴的な形状など、昆虫たちの持つ細部の美しさを鮮明に記録できます。また、昆虫が花に止まっている瞬間や、葉の上を歩く様子など、生態と環境との関係性まで含めた物語性のある一枚を撮影することができます。
小物
ハーフマクロはスナップ撮影でも優れた性能を発揮します。たとえば、街角のディテールや日常の何気ない瞬間も、マクロレンズ特有の描写力と美しいボケ味によって、新鮮な視点で捉えることができます。また、ポートレートでは、なめらかな背景ボケの中で、人物の表情や仕草を印象的に切り取ることができます。
ハーフマクロレンズの使い方
ハーフマクロの魅力を最大限に引き出すためには、いくつかの重要なテクニックがあります。以下で、実践的な撮影のコツをご紹介していきましょう。
ピント合わせのコツ
ハーフマクロの撮影では、主題への確実なピント合わせが必要です。被写体の中でも、特に印象的に表現したい部分(たとえば、花びらの水滴や昆虫の模様など)に正確にピントを合わせましょう。絞り優先モードを使うと、絞り値を調整してボケ具合をコントロールしながら、適正露出も簡単に確保できます。
小さな被写体などの場合は、オートフォーカス(AF)が合いにくい場合があるため、マニュアルフォーカスでピントを合わせましょう。
構図はシンプルかつメリハリを
マクロ撮影では、主題以外の背景部分が美しいボケになるため、シンプルで印象的な構図を意識してみると良いでしょう。背景は無駄な要素を省き、主題を引き立てる色調や明暗を選びます。たとえば、花を撮影する場合は、背景の色彩が花の色と調和するよう意識すると良いでしょう。また、斜めからの撮影やローアングルでは、奥行きや立体感のある写真になります。
【初心者の方必見】上手な写真を撮るための構図・アングルの基本を分かりやすく解説!
背景で色彩や文脈を加える
背景は単にボカすだけでなく、写真全体の雰囲気をつくる要素として活用しましょう。たとえば、草花の撮影では、同系色の植物を背景に配置することで統一感のある色彩表現が可能です。
昆虫の撮影では、枝葉や花など生息環境を感じさせる要素を背景に含めることで、臨場感のある、より豊かな表現が可能になります。
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手ブレを抑える
マクロ撮影では、わずかな揺れも大きく影響するため、手ブレ対策が重要です。たとえば手持ち撮影の場合はシャッタースピードを1/125 秒から1/200秒以上など、やや速めに設定します。さらに、より確実に手ブレを防ぐには三脚が有効です。極めて微細な被写体や、暗所での撮影時には、三脚があると良いでしょう。
関連記事:【一眼カメラの基礎知識】露出や構図など撮り方のポイントを解説
光の向きに気をつける
単焦点のハーフマクロレンズは、通常の単焦点レンズとしても優れた性能を発揮します。たとえば、ポートレートではなめらかなボケ味と優れた解像力で、表情を印象的に捉えることができます。風景写真でもシャープな描写力を活かして、遠景から近景までディテールを捉えられます。マクロ撮影に限定せず、さまざまなシーンで活用することで、レンズの持つ可能性を最大限に引き出せるでしょう。
ハーフマクロレンズの選び方
ハーフマクロレンズは種類も豊富で、それぞれに特徴があります。自分の撮影スタイルや目的に合ったレンズを選ぶために、以下のポイントをチェックしてみましょう。
最大撮影倍率
前述の通り、最大撮影倍率が1:1のレンズが「等倍マクロ」、1:2のレンズが「ハーフマクロ」と呼ばれ、表現できる幅も異なります。実際の作例写真を見比べながら、自分が撮りたい写真表現に適したレンズを見極めましょう。一例として、より大きく細部まで写したい場合は等倍マクロを、風景を含めた広めの画角で撮影したい場合はハーフマクロを選ぶのも良いでしょう。
最短撮影距離
最短撮影距離が短いレンズほど、被写体に接近して撮影できるため、より大胆な表現が可能になります。たとえば、花の中心部の雌しべや雄しべの様子、昆虫の複眼の輝きなど、細部に迫った撮影ができます。また、スペースが限られている場合でも被写体との距離を調整しやすく、構図の自由度も広がります。
焦点距離
焦点距離によって画角やボケ具合が変わります。約35mm以下の広角域では、被写体と背景を広い画角で捉えられ、ダイナミックな遠近感を演出できます。約50mm前後の標準域付近では、自然な遠近感で被写体と背景をバランス良く収めることができます。また、約80mm以上の望遠域では被写体を大きく印象的に切り取り、背景を大きくぼかすことができます。作例写真などを参考に、自分がイメージする写真表現に適した焦点距離のレンズを選びましょう。
関連記事: 焦点距離とは?画角との関係など基礎知識を解説
開放F値(絞り値)
開放F値がF2.8などの明るいレンズは、暗い場所でも手持ち撮影がしやすく、シャッタースピードを速めに設定できるため、手ブレを抑えやすいという利点があります。また、開放F値が小さいレンズは印象的なボケを作りやすくなります。特にポートレートや芸術的な表現を好む方には、開放F値が小さなレンズがおすすめです。
関連記事: F値(絞り値)とは?設定例やシャッタースピード、ISO感度との関係まで徹底解説
重さ・コンパクトさ
軽量なレンズは、長時間の撮影でも疲れにくく、手持ち撮影時の安定性も高まるため、手ブレの少ない写真を撮影できます。また、コンパクトなレンズは、カメラバッグに余裕を持って収納でき、旅行や散歩などの外出時も気軽に持ち歩けます。さらに、室内やレストランなど、限られたスペースでの撮影でも周囲に気兼ねなく素早くカメラを向けることができ、利便性が高いです。
オートフォーカス(AF)性能
AFはスムーズかつ正確にピントが合うかを確認しましょう。特に飛行中の蝶や昆虫など、動きのある被写体を撮影する機会が多い場合は、素早く正確なAF性能が求められます。また、野鳥や昆虫など、警戒心の強い被写体を撮影する際は、静音性も確認しておくと良いでしょう。
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手ブレ補正機構
マクロ撮影では、わずかな揺れも手ブレに繋がる可能性があるため、手ブレ補正機構があると便利です。また、補正の効き量を調整できると、マクロ撮影に限らず、さまざまな場面で表現の幅を広げることができます。
タムロンの手ブレ補正技術を見る →
タムロンおすすめのハーフマクロ(1:2)レンズ
タムロンにはハーフマクロ(1:2)での撮影が可能なレンズが揃っています。これからマクロ撮影に挑戦したいという方や、マクロ撮影もできる汎用性の高いレンズをお探しの方にもおすすめです。
望遠ズームレンズ
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50-300mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD a069(Model )
50-300mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD (Model A069)は、70-300mm使用時の「広角側が少し物足りない」の声に応え、広角側を50mm始まりに。望遠域300mmまでカバーしながらも非常にコンパクトなサイズを実現しています。また、50-300mm全域で高画質を達成。静粛性・俊敏性に優れたリニアモーターフォーカス機構VXD (Voice-coil eXtreme-torque Drive)や手ブレ補正機構VC (Vibration Compensation)の搭載により、あらゆる撮影を強力にサポートします。さらに、広角端では最短撮影距離0.22m、最大撮影倍率1:2の高い近接撮影能力で、存分にハーフマクロの世界を楽しめます。気軽に本格的な撮影が楽しめるこの万能ズームレンズが、作品づくりの可能性を広げます。
超望遠ズームレンズ
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50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD a067(Model )
50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD (Model A067)は、広角端50mm始まりでズーム比8倍、フルサイズミラーレス一眼カメラ対応の超望遠ズームレンズです。50-400mm全域で妥協のない高画質を実現するレンズでありながら、100-400mmクラス同等の小型・軽量サイズを達成。リニアモーターフォーカス機構VXD、手ブレ補正機構VCを搭載し、スポーツや野鳥などの撮影で、被写体の動きに素早くピントを合わせられます。近接撮影能力にも優れ、被写体に存分に近づいたハーフマクロ撮影も可能です。Model A067は、圧倒的な高画質と機動力を兼ね備えた新しい超望遠ズームレンズです。
※50mmから70mmまで最大撮影倍率1:2を達成し、被写体に存分に近づいたハーフマクロ撮影をお楽しみいただけます。
高倍率ズームレンズ
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18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD b061(Model )
18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD (Model B061)はズーム比16.6倍を実現し、AF駆動には静粛性・俊敏性に優れたリニアモーターフォーカス機構VXDを搭載。特殊硝材をバランスよく配置したことで、画面の中心から周辺まで高い描写性能を維持し、クラストップレベルの高画質を実現しています。優れた近接撮影能力と手ブレ補正機構VCも搭載。広角から超望遠まで高画質を手軽にお楽しみいただくことができる、実用性の高いレンズです。
※広角端18mmで最短撮影距離0.15m、最大撮影倍率1:2を達成し、ワーキングディスタンスは驚きの5mmです。レンズ前玉に被写体が接触しないように撮影をお楽しみください。
単焦点レンズ
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20mm F/2.8 Di III OSD M1:2 f050(Model )
F/2.8の明るさと高い近接撮影能力を合わせ持つレンズが登場。Model F050は超広角撮影を本格的に楽しめる20mmの単焦点レンズです。最短撮影距離0.11mまで寄れば、未体験の超広角世界を楽しむことができます。
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24mm F/2.8 Di III OSD M1:2 f051(Model )
“驚異的に寄れる”広角単焦点レンズが登場。Model F051は広角写真のバリエーションを広げる焦点距離24mm、最短撮影距離0.12mを実現しています。撮影のフットワークを軽くする小型・軽量設計でスナップに最適なレンズです。
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35mm F/2.8 Di III OSD M1:2 f053(Model )
ミラーレス専用設計のソニーEマウントレンズシリーズに単焦点35mmが登場。Model F053はF/2.8と大口径でありながら最短撮影距離0.15mまでの近接撮影が可能。被写体が引き立つ美しいボケを楽しむことができます。