2024.10.15
マクロレンズの魅力を引き出す!風景撮影のコツと玉ボケのつくり方
マクロレンズの魅力を引き出す!風景撮影のコツと玉ボケのつくり方
マクロレンズはマクロ撮影以外にも活躍
マクロレンズは、その名が示すように、マクロ撮影に最適なレンズで、一般的には単焦点レンズとなります。通常のレンズよりも被写体に近づいて、小さな被写体を写真いっぱいに大きく写すことができます。花の雄しべや雌しべ、昆虫の複眼など、肉眼では見えにくい細部まで、精細に描写できる点が魅力です。
ただ、マクロレンズは「マクロ撮影だけ」のレンズではありません。通常の単焦点レンズとして、風景撮影でも活躍します。マクロレンズは解像力が高く描写力も優れていることが多いため、風景撮影でも高画質な写真を撮ることができます。
また、風景の中の一部分を切り取ったり、ボケを活かして雰囲気を演出したりと、マクロレンズの特徴を活かした作品づくりが可能です。
マクロレンズの基本的な特徴と使い方
マクロレンズを使いこなすには、その特性を理解することが大切です。ここでは、具体的な風景撮影に入る前に、マクロレンズの一般的な特徴や使い方について解説します。
最短撮影距離と最大撮影倍率
マクロレンズは最短撮影距離と最大撮影倍率で特徴づけられます。最短撮影距離とは、被写体にピントが合って見える距離の中で、被写体からセンサーまでの最短距離を指します。マクロレンズは、この距離が非常に短いため、被写体に接近して撮影ができます。
最大撮影倍率は、実際の被写体の大きさに対して、センサー上に写る最大の大きさを比率で表したものです。通常、マクロレンズといえば、最大撮影倍率が1:1になる等倍マクロレンズを指すことが多いです。
一方、最大撮影倍率が1:2のレンズはハーフマクロレンズと呼ばれます。ハーフマクロは、等倍マクロよりも風景全体を広めに捉えることができるため、引きの風景撮影にも適しています。
ピントの合わせ方
マクロレンズは、被写体に接近できる分、被写界深度が浅くなります。そのため、ピントが合って見える範囲が狭くなり、大きく美しいボケを得られます。
その反面、ピント合わせがよりシビアになるため、マクロ撮影では主題をピンポイントで決めることが大切です。
また、オートフォーカス(AF)ではピントが合いにくい場合も出てくるため、マニュアルフォーカス(MF)での調整にも慣れておきましょう。その他、F値(絞り値)を大きくしたり、三脚を使用したりすることで、ピントを合わせやすくなります。
手ブレを防止する
マクロレンズで接写する場合、手ブレも発生しやすくなります。被写体に近づくほど、ほんの少しのブレが大きく写真に現れてしまうためです。
手ブレを防ぐには、通常よりもシャッタースピードを速めに設定することが有効です。また、前述の通り三脚を利用したり、F値を大きくしたりすることで、より手ブレの少ない写真を撮影できます。
マクロレンズを使った風景の撮り方
ここからは、マクロレンズを使った風景の撮り方について詳しく解説します。近接撮影では美しいボケの写真を撮影できるマクロレンズですが、シャープでクリアな描写を活かした風景撮影にもおすすめです。
適切な設定で撮影する
露出設定の目安
まず、マクロレンズで風景を撮影する際の露出設定を確認しておきましょう。以下、目安をご紹介しますが、実際には撮影しながら最適な設定を探してみてください。
関連記事:【初心者の方必見】上手な写真を撮るための構図・アングルの基本を分かりやすく解説!
撮影モード
ボケ具合を決めて撮影する場合は、絞り優先モードを活用しましょう。絞り優先モードでは、F値を設定することで、適切な露出になるよう、カメラがシャッタースピードを自動的に決定します。これにより、意図したボケ具合で撮影しやすくなります。
F値(絞り値)
引きで風景全体を捉えたい場合は、F8からF11程度に絞って撮影すると良いでしょう。絞りを絞ることで、風景全体をよりシャープに捉えることができます。
シャッタースピード
マクロ撮影では手ブレを抑えるため、1/200秒から1/1000秒程度の速めのシャッタースピードに設定することが多いですが、風景全体を撮影する場合は、絞りを絞ることが多いため、通常のシャッタースピードで問題ありません。三脚を使用すれば、より遅いシャッタースピードでも手ブレを抑えられます。
一方、マクロ撮影では手ブレを抑えるため、1/200秒から1/1000秒程度の速めのシャッタースピードに設定をして、写真を見ながら調整します。
ISO感度
ISO感度は状況に応じて調整しましょう。十分な明るさがある場合は、低めのISO感度で撮影します。
写真が暗くなってしまう場合は、ISO感度を上げたり、露出補正をプラス方向に設定して明るさを確保しましょう。ただ、ISO感度を上げることでノイズが増えたり、過度な露出補正で白飛びのリスクが増加したり、全体の色が不自然に見えてしまう可能性があります。
シーンや被写体に応じて、微調整を行いながら最適な露出を見つけることが重要です。
バランスの取れた構図を意識する
引きの風景撮影では、構図のバランスを意識することが大切です。広い風景を捉える際は、三分割構図や四分割構図を活用すると良いでしょう。
三分割構図では、画面を縦横それぞれ三等分し、主題を交点に配置します。四分割構図では、画面を縦横それぞれ四等分し、主題を交点や線上に配置します。これらの構図を意識することで、バランスの取れた、メリハリのある写真を撮影できます。
魅力的な一部分を切り取る
焦点距離の長いマクロレンズならば画角が狭いため、広大な風景の中から主題となる領域を切り取ることができます。たとえば、広大な花畑の中から色彩が印象的な花を選んで撮影したり、山並みの中から美しい稜線を切り取ったり、その風景の魅力を最大限に引き出せます。
風景を観察しながら、心惹かれる部分を主役にして繰り返し撮影してみましょう。
マクロ撮影で広がる表現力
マクロレンズを使えば、風景写真を撮る場面で出会う小さな被写体にも注目できます。ここでは、風景を取り入れながら、マクロレンズ撮影する魅力をご紹介します。
小さな被写体に迫る
マクロ撮影では、背景の選び方やアングルによっても、写真の印象が大きく変わります。
背景は被写体と同色系でシンプルなものを選ぶと、全体的に柔らかくふんわりとした雰囲気になります。一方、主題とコントラストのある色を背景ボケにすると、ディテールの存在感が引き立つでしょう。
カメラアングルも大切な要素の一つです。正面や上からのアングルで撮影すると、被写体を客観的に観察するような印象になります。一方、横や下からのアングルで撮影すると、ダイナミックさやストーリー性、情緒を表現しやすいでしょう。
同じ被写体でも様々なポジションやアングルで撮影してみて、魅力的な構図を探すことが重要です。
玉ボケでマクロレンズの魅力を引き出す
風景写真に奥行きや雰囲気を加える要素として、玉ボケがあります。玉ボケが入ることによって、写真に立体感が生まれたり、幻想的な雰囲気を作り出したり、柔らかい光であたたかみを加えたりと、様々な効果を得ることができます。
ここからは、玉ボケのつくり方や玉ボケを活かした撮影シーンをご紹介します。
玉ボケのつくり方
まずは玉ボケのつくり方を確認しましょう。玉ボケをつくるには、いくつかのポイントがあります。
丸い点になっている光を見つける
玉ボケは、点光源が大きくボケたものです。たとえば、イルミネーションや街灯などがイメージしやすいでしょう。
日中の風景撮影では、日光が玉ボケの光源になります。水面や葉に反射した光や、木陰に散乱した光など、丸に近い形をした光を探しましょう。
背景との距離を意識する
玉ボケを大きく見せるには、焦点距離の長いレンズを使用し、ピントを合わせる主題と背景の光源が遠くなるように配置すると効果的です。
また、主題となる被写体に寄ることで、必然的に背景とは距離ができます。これにより、背景の光源がより大きくぼけ、大きな玉ボケに見えるようになります。
絞りを開放近くまで開く
玉ボケを強調するには、F値を開放に近い値に設定しましょう。開放絞りにすることで、被写界深度が浅くなり、ボケ味が強調されます。
ただ、開放絞りでは、ピントが合って見える範囲が非常に狭くなるので、ピント合わせには注意が必要です。ボケ具合を確認しながら、F値を大きくするなど調整をしましょう。
玉ボケを活かした作例
ここでは、マクロレンズを使用し、玉ボケを活かした作例写真をご紹介します。それぞれの被写体に合わせた玉ボケの活用法を見ていきましょう。
花の作品
マクロレンズで撮影した写真は、大きくとろけるようなボケが特徴的です。レンズによって、ディテールの描写力やボケの質感が異なるため、自分の好みに合っているかが大切です。
また、風景写真に利用する場合は、画角の周縁部のシャープさや平坦さも確認しておくと良いでしょう。実際にレンズを試してみることが理想的ですが、レビューや作例写真を参考にするのも良い方法です。
最短撮影距離と最大撮影倍率
焦点距離が長い望遠マクロレンズは、昆虫のマクロ撮影から風景撮影まで、幅広く使用できる点が魅力的です。また、最大撮影倍率が等倍(1:1)以上のレンズは、小さな被写体を写真いっぱいに大きく写すことができます。
一方、焦点距離が短いマクロレンズは、より被写体に寄った撮影が可能です。花や小物、テーブルフォトなどで特に有効です。
開放F値
開放F値が小さいレンズは、より多くの光をセンサーに取り込むことができます。これは、マクロ撮影でシャッタースピードを速くしたい場合や、暗所での撮影に特に役立ちます。
開放F値の明るいレンズを選ぶことで、手ブレを抑えつつ、明るめの写真を撮影しやすくなります。
関連記事:F値(絞り値)とは?設定例やシャッタースピード、ISO感度との関係まで徹底解説
オートフォーカス(AF)性能
マクロレンズのオートフォーカス(AF)性能も重要なポイントです。スムーズで正確にピントが合うか、動く被写体に対して追従してくれるかを確認しておきましょう。
ただ、マクロ撮影ではマニュアルフォーカス(MF)で撮影することも多いため、フォーカスリングの操作性なども確認しておくと良いでしょう。
タムロンのAF技術を詳しく見る >
重さとコンパクトさ
マクロレンズを使用した近接撮影では、カメラを持ち歩いて様々なアングルからの撮影を繰り返すことも多いです。そのため、コンパクトで取り回しの良いレンズが使いやすいでしょう。コンパクトなレンズは被写体に近づきやすいだけでなく、気になる被写体にすぐにカメラを構えることができます。
また、できるだけ軽量なレンズを選ぶことで、手持ち撮影時の手ブレ抑制にもつながりやすくなります。
防滴構造
草花の露や水辺など、湿気の多い場所や水を扱う環境でマクロレンズを使用することも少なくありません。レンズに防滴構造があれば、多少の雨があってもレンズへのダメージを最小限に抑えることができるので、集中して撮影に臨めます。
タムロンのおすすめマクロレンズ
タムロンのマクロレンズは「タムキュー(タムQ)」の愛称で長年親しまれている90mmマクロのほか、ハーフマクロレンズもラインアップされています。軽量・コンパクトで使いやすく、高解像なレンズがタムロンの特徴です。ぜひ、気に入ったレンズを探してみてください。
関連ページ:タムロンの90mmマクロレンズ「タムキューの歴史」
等倍マクロ(1:1)対応レンズ
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90mm F/2.8 Di III MACRO VXD f072(Model )
90mm F/2.8 Di III MACRO VXD (Model F072)は、長年「タムキュー」の愛称で親しまれてきたタムロン90mmマクロレンズのミラーレス版です。高い解像力と光学性能を誇り、タムロン初の12枚羽根の円形絞りが、美しい玉ボケと光芒表現を実現します。軽量・コンパクトなデザインで気軽に持ち運べ、新型の窓付きフードでフィルター操作も容易です。さらに、TAMRON Lens Utility™に対応し、高速・高精度AFを搭載したこのレンズは、写真と動画撮影の可能性をさらに広げます。伝統の描写力と最新技術を融合させた、新たな「タムキュー」の歴史を切り拓く一本です。
ハーフマクロ(1:2)での撮影が可能なレンズ
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50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD a067(Model )
50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD (Model A067)は、広角端50mm始まりでズーム比8倍、フルサイズミラーレス一眼カメラ対応の超望遠ズームレンズです。50-400mm全域で妥協のない高画質を実現するレンズでありながら、100-400mmクラス同等の小型・軽量サイズを達成。リニアモーターフォーカス機構VXD、手ブレ補正機構VCを搭載し、スポーツや野鳥などの撮影で、被写体の動きに素早くピントを合わせられます。近接撮影能力にも優れ、被写体に存分に近づいたハーフマクロ撮影も可能です。Model A067は、圧倒的な高画質と機動力を兼ね備えた新しい超望遠ズームレンズです。
※50mmから70mmまで最大撮影倍率1:2を達成し、被写体に存分に近づいたハーフマクロ撮影をお楽しみいただけます。
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20mm F/2.8 Di III OSD M1:2 f050(Model )
F/2.8の明るさと高い近接撮影能力を合わせ持つレンズが登場。Model F050は超広角撮影を本格的に楽しめる20mmの単焦点レンズです。最短撮影距離0.11mまで寄れば、未体験の超広角世界を楽しむことができます。
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24mm F/2.8 Di III OSD M1:2 f051(Model )
“驚異的に寄れる”広角単焦点レンズが登場。Model F051は広角写真のバリエーションを広げる焦点距離24mm、最短撮影距離0.12mを実現しています。撮影のフットワークを軽くする小型・軽量設計でスナップに最適なレンズです。
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35mm F/2.8 Di III OSD M1:2 f053(Model )
ミラーレス専用設計のソニーEマウントレンズシリーズに単焦点35mmが登場。Model F053はF/2.8と大口径でありながら最短撮影距離0.15mまでの近接撮影が可能。被写体が引き立つ美しいボケを楽しむことができます。