2024.12.26
【背景ボケのつくり方】ボケを活かして美しい写真を撮る方法
【背景ボケのつくり方】ボケを活かして美しい写真を撮る方法
写真における「ボケ」は、単に背景がボケるという現象以上に、写真の印象を大きく左右する重要な要素です。背景ボケにより、主役となる被写体に自然と視線が集まり、より印象的な一枚になります。たとえばポートレート撮影では、人物の表情や仕草にやわらかい背景ボケが重なることで、主題の持つ雰囲気が強調されます。
また、ボケには写真の中の情報を整理する側面もあります。複雑な背景や不要な要素をボカすことで、主題以外の要素が弱められ、メリハリが生まれます。
さらに、ボケの強さや濃淡によって、写真全体の印象も変わります。たとえば、柔らかなボケは優しく穏やかな雰囲気を、大きなボケは力強くドラマチックな印象を演出できるでしょう。
ボケをつくる要素
美しいボケをつくり出すには、F値や焦点距離、主題となる被写体との距離感などが重要です。以下では、ボケを生み出す4つの主要な要素について、詳しく解説していきます。
F値(絞り値)
F値を小さくする(絞りを開く)ほど被写界深度が浅くなり、ピントの合っていない部分(ボケ)が大きく見えるようになります。たとえば、開放F値がF2.8などの小さなレンズを使用し、開放絞りで撮影をすると、背景が大きくボケた写真になるでしょう。
一方、風景やスナップではF4やF5.6といった開放からやや絞ったF値を使用することで、適度なボケ具合を保ちながら、主題となる被写体の細部までシャープに描写することが可能です。
撮影時にはカメラの絞り優先モードを活用すると、ボケ具合を調整ながら適正露出を確保しやすくなります。
焦点距離
レンズは焦点距離が長いほど画角が狭くなり、ボケが大きくなります。たとえばポートレート撮影の場合、広角レンズを使用すると広い風景の中に人物が捉えられますが、望遠レンズでは狭い画角の中に人物が大きく写し込まれます。
望遠レンズでは圧縮効果により、被写体と背景がぐっと近づいて見えます。遠景の街並みや自然風景を背景に使った撮影では、この大きな背景ボケによって、人物の迫力や力強さが強調された印象になります。
一方、標準レンズでは自然な遠近感とバランスの取れたボケ味を得ることができます。そのため、スナップやポートレートなどでは、肉眼で見たままに近い印象で風景を捉えることが可能です。
カメラと被写体の距離
被写体とカメラとの距離によっても、ボケの大きさは変わります。主題となる被写体にピントを合わせたまま寄っていくと、背景ボケは大きくなっていきます。
たとえば、花の接写撮影ではカメラを花に近づけることで、花びらの微細な構造を捉えながら、背景を大きくぼかして幻想的な雰囲気を演出することが可能です。ただし裏を返せば、主題に寄れば寄るほど、被写界深度が浅くなることを意味します。そのため、特に接写撮影では、ピント合わせに一定の経験や慣れが必要になるでしょう。
被写体と背景の距離
被写体と背景の距離によって、背景ボケの大きさが変わります。カメラの位置を固定したまま、被写体と背景の距離が離れれば離れるほど、背景ボケは大きくなっていきます。
たとえば、ポートレート撮影では、モデルさんに背景から離れた位置に立ってもらうことで、背景が美しいグラデーションとなって溶け込んでいくような効果が得られます。また、背景に木漏れ日や街灯などの点光源がある場合は、玉ボケをつくって、やわらかく幻想的な光を演出することも可能です。
ボケの種類
写真表現におけるボケには、さまざまなものがあります。ここでは代表的な表現として、「前ボケ」、「後ボケ」、「玉ボケ」をご紹介します。
前ボケ
接写で撮影する際は、ピント合わせが重要なポイントです。主題として表現したい要素をピンポイントで選び、そこにピントを合わせます。こうすることで、前後の要素が美しくぼけ、主題を印象的に表現できるでしょう。
加えて、前景、背景の選び方も重要です。花の撮影であれば、群生する同系色の花を背景として取り込むことで、ふんわりとした幻想的な印象になるでしょう。一方、葉や空などコントラストの強い色を選べば、色彩が強調され絵画的な印象になります。
レンズ選びのポイント
イメージしたボケ味の写真を撮影するには、レンズ選びも大切な点です。ここでは、撮りたいものに合ったレンズを選ぶために、重要なポイントを解説します。
開放F値
F2.8など開放F値が小さい大口径レンズを選ぶことで、より豊かでなめらかなボケが得られます。特にポートレートなどでは、とろけるような背景の中で主題を美しく描写できるでしょう。
また、開放F値の小さいレンズは暗所での撮影で役立ちます。より多くの光を取り込むことができるため、曇天や夜間、室内の撮影でも明るめの写真を撮影しやすくなります。
関連記事: F値(絞り値)とは?設定例やシャッタースピード、ISO感度との関係まで徹底解説
焦点距離
焦点距離によって画角やボケ具合も変わります。前述の通り、焦点距離が長いと画角が狭くなり、ボケも大きくなります。そのため、たとえば風景全体をくっきりと写したい場合は広角レンズが、遠くの動物や建物などの被写体を引き立たせたい場合は望遠レンズが適しています。
また、ポートレートやスナップなど自然な雰囲気やボケを表現するには、焦点距離が50mm前後の標準レンズが適切でしょう。このように、撮りたい写真のイメージに合わせて、適切な焦点距離のレンズを選ぶことが重要です。
軽さとコンパクトさ
軽量で取り回しの良いレンズは、手軽にカメラを持ち運べるため、旅行や外出先の撮影で重宝します。風景撮影などで登山に出かけたり、長時間歩いたりする場合にも負担を軽減してくれるでしょう。また、気軽にカメラを持ちだせることで自然と撮影する機会が増えるため、撮影スキルの上達も早くなるのではないでしょうか。
最短撮影距離
最短撮影距離が短いレンズは、より被写体に寄って撮影することができます。接写性能が高いレンズはマクロレンズに近い表現が可能になり、1本で撮影の幅を広げられるでしょう。また、接写により背景ボケも大きくなるため、さまざまなボケの表現にもチャレンジできます。
オートフォーカス(AF)性能
ボケを活かした撮影では、主題に対して正確にピントを合わせることが重要です。そのため、AFが正確に、ストレスなく合うかを確認しましょう。また、動きのある被写体を撮影する場合は、動体追従性もチェックしておきたいポイントです。静寂な環境での撮影や動画撮影なども見越して、AF駆動音の静粛性も確認しましょう。
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手ブレ補正機構
レンズ内手ブレ補正機構は、暗所や望遠での手持ち撮影時に役立ちます。シャッタースピードが遅くなりがちなシーンでも、手ブレが発生しにくくなり、より安定した撮影が可能です。また、手ブレ補正の効き量が調整できると、流し撮りなど、さまざまな表現にも応用しやすいです。
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おすすめのタムロンレンズ
タムロンのレンズラインアップには、美しいボケを写し出せる大口径レンズが豊富に揃っています。さらに、最新の光学設計やコーティング技術を採用することで、収差やフレア、ゴーストを可能な限り抑え、高い描写力を実現しています。また、軽量かつコンパクトな設計もタムロンレンズの大きな魅力です。
広角ズームレンズ
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17-28mm F/2.8 Di III RXD a046(Model )
17-28mm F/2.8 Di III RXD (Model A046)は抜群の携帯性と高画質を両立させた、ミラーレス専用設計のソニーEマウント用大口径超広角ズームレンズです。クラス最小・最軽量を達成し、コンパクトで持ち運びしやすいため、街中や旅先の建造物から山岳の写真までさまざまな風景を気軽に撮影することができます。特殊硝材LD (Low Dispersion:異常低分散)レンズやXLD (eXtra Low Dispersion)レンズを贅沢に使用し、色収差を大幅に抑制。コンパクトボディながら優れた光学性能を発揮します。さらに広角端17mmでの最短撮影距離は0.19mと、超広角ならではのパースペクティブを活かした近接撮影も可能です。AF駆動には高速・精密なステッピングモーターユニットRXD (Rapid eXtra-silent stepping Drive)を搭載。加えて、簡易防滴構造や防汚コートを採用するなど、アウトドアシーンでも快適な撮影をサポートします。このレンズがフットワークを軽くさせ、あなたを新たな景色へと連れだします。
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11-20mm F/2.8 Di III-A RXD b060(Model )
11-20mm F/2.8 Di III-A RXD (Model B060)は、大口径F2.8でありながら小型軽量と高い描写力を実現。コンパクトなAPS-Cサイズミラーレスカメラボディとのバランスもよく、普段使いとして最適です。広角端11mmでは最短撮影距離0.15m、最大撮影倍率1:4と驚異的な近接撮影能力を実現し、パースペクティブの効いたデフォルメ効果を活かしたワイドマクロ撮影が可能。また、AF駆動には静粛性に優れたステッピングモーターユニットRXD (Rapid eXtra-silent stepping Drive)を搭載しており、静止画だけでなく動画撮影にも適しています。加えて、屋外での撮影を考慮した簡易防滴構造や防汚コートを採用するなど、超広角大口径F2.8の高画質を手軽にお楽しみいただくことができる、実用性の高いレンズです。
標準ズームレンズ
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20-40mm F/2.8 Di III VXD a062(Model )
20-40mm F/2.8 Di III VXD (Model A062)は、携帯性を徹底的に追求した、新たな大口径標準ズームレンズです。超広角20mmからはじまり、標準域の40mmまでをカバーしながら、クラス最小・最軽量のサイズ感。ズーム全域で美しい写りも実現しており、静止画撮影だけでなく、Vlogなどの動画撮影にも活躍します。静粛性・俊敏性に優れたリニアモーターフォーカス機構VXDを採用し、高速・高精度なAFを実現。静止画・動画問わず気軽に持ち出し撮影を楽しむことができる、今までにない新しい大口径標準ズームレンズです。
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28-75mm F/2.8 Di III VXD G2 a063(Model )
28-75mm F/2.8 Di III VXD G2 (Model A063)は、高い評価を受けた28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036)から、第2世代「G2」として、さらなる進化を遂げた大口径標準ズームです。高画質・高解像を実現し、AFの高速化と高精度化を達成しました。広角端での最短撮影距離0.18m、最大撮影倍率1:2.7を実現。新デザインの採用により操作性や質感も向上しました。さらに、独自開発した専用ソフトウェアにより、レンズのカスタマイズが可能になりました。
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17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD b070(Model )
17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD (Model B070)は、APS-Cサイズミラーレス一眼用の大口径標準ズームレンズです。普段使いに最適な17-70mm (35mm判換算:25.5-105mm相当)、ズーム比4.1倍を実現。画面全域において高い解像性能を維持します。また、手ブレ補正機構VCの搭載や、静かで滑らかなAF、フォーカスブリージングを抑えて快適な動画撮影をサポートします。大口径F2.8の高画質を静止画と動画、双方の撮影で手軽に楽しめる実用性の高いレンズです。
望遠ズームレンズ
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35-150mm F/2-2.8 Di III VXD a058(Model )
35-150mm F/2-2.8 Di III VXD (Model A058)は、広角端で開放 F2を達成し、準広角35mmから望遠150mmまで、ポートレート撮影で使用頻度の高い画角を1本でカバーします。大幅な大口径化と高画質を実現、リニアモーターフォーカス機構VXDにより高速・高精度AFを達成しています。新デザインの採用により、操作性や質感も向上しました。独自開発の専用ソフトウェアにより、レンズのカスタマイズも可能になりました。
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70-180mm F/2.8 Di III VC VXD G2 a065(Model )
70-180mm F/2.8 Di III VC VXD G2 (Model A065)は、市場でご好評をいただいている大口径望遠ズーム「70-180mm F/2.8 Di III VXD (Model A056)」(以下Model A056)からさらなる進化を遂げ、第2世代「G2」モデルとして誕生しました。本機種では、タムロン独自の手ブレ補正機構VC (Vibration Compensation)を新たに搭載。クラス最小・最軽量*の機動力を維持しながら、より安定した撮影が可能です。また、初代Model A056から光学設計を一新し、ズーム全域で妥協のない高画質な写りを実現。広角端の最短撮影距離も初代の0.85mから0.3mへ短縮することに成功しており、非常に短い最短撮影距離による、本レンズならではのユニークな写真表現が楽しめます。 *手ブレ補正機構搭載フルサイズミラーレス用大口径F2.8望遠ズームレンズにおいて。(2023年8月現在。タムロン調べ)
単焦点レンズ
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20mm F/2.8 Di III OSD M1:2 f050(Model )
F/2.8の明るさと高い近接撮影能力を合わせ持つレンズが登場。Model F050は超広角撮影を本格的に楽しめる20mmの単焦点レンズです。最短撮影距離0.11mまで寄れば、未体験の超広角世界を楽しむことができます。
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24mm F/2.8 Di III OSD M1:2 f051(Model )
“驚異的に寄れる”広角単焦点レンズが登場。Model F051は広角写真のバリエーションを広げる焦点距離24mm、最短撮影距離0.12mを実現しています。撮影のフットワークを軽くする小型・軽量設計でスナップに最適なレンズです。
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35mm F/2.8 Di III OSD M1:2 f053(Model )
ミラーレス専用設計のソニーEマウントレンズシリーズに単焦点35mmが登場。Model F053はF/2.8と大口径でありながら最短撮影距離0.15mまでの近接撮影が可能。被写体が引き立つ美しいボケを楽しむことができます。
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90mm F/2.8 Di III MACRO VXD f072(Model )
90mm F/2.8 Di III MACRO VXD (Model F072)は、長年「タムキュー」の愛称で親しまれてきたタムロン90mmマクロレンズのミラーレス版です。高い解像力と光学性能を誇り、タムロン初の12枚羽根の円形絞りが、美しい玉ボケと光芒表現を実現します。軽量・コンパクトなデザインで気軽に持ち運べ、新型の窓付きフードでフィルター操作も容易です。さらに、TAMRON Lens Utility™に対応し、高速・高精度AFを搭載したこのレンズは、写真と動画撮影の可能性をさらに広げます。伝統の描写力と最新技術を融合させた、新たな「タムキュー」の歴史を切り拓く一本です。