2023.10.04
写真家 水谷 たかひと氏がVC搭載で第2世代G2に進化した大口径望遠ズーム、タムロン70-180mm F2.8 G2でカーリングチーム「ロコ・ソラーレ」を撮る
多くのユーザーが使用しているタムロンの大口径望遠ズーム70-180mm F2.8が、大幅な進化を遂げて登場しました。女子カーリングのトップチームである「ロコ・ソラーレ」を被写体として、新製品タムロン 70-180mm F/2.8 Di III VC VXD G2 (Model A065)のインプレッションを行っていきます。
第2世代「G2」へと進化した今回のレンズ、まずは初代にはなかった手ブレ補正機構VCが搭載されました。超望遠レンズに搭載されているのはスタンダードだと思いますが、70-180mmという超望遠ではないレンズであっても、手ブレ補正があったらなと思う場合があるはず。今回全てにおいてVCをオンにして撮影を行うくらい、私にはVC搭載が一番大きいトピックスでした。VCはこれまで搭載してきた機能をリチューニングしていると聞いています。補正も良く効きますし、スポーツ含め動きものの撮影では大きくレンズを振る場合がありますが、ファインダーを覗いた違和感もほぼありません。暗い場所での撮影では重宝しますね。
レンズのサイズ・重量にも驚かされました。とにかくコンパクトで軽い!VC搭載によって初代モデルより大きく重くなることなく、ほとんど差を感じることはありません。このレンズの強みでもある機動力がスポイルされることはないでしょう。気軽にカメラバッグに入れることができます。
肝心な写りに関してはどうでしょうか。初代70-180mmでも評価が高かったわけですから、それを超えてくるのは難しいのでは?と思っていましたが、超えてきましたねぇ。一から光学設計を見直したこだわりが垣間見られます。シャープでありながらとげとげしさがなく、質感良く表現されながら像に緩さを感じない。こういう絵が好きだなぁと共感するユーザーが多くいるであろうと感じました。
今回は明るさが十分に確保できない室内での撮影です。全焦点距離で開放F値2.8という明るいレンズが必要でした。作例はほぼF値2.8で撮影。ISO感度を大幅に上げることなく速いシャッタースピードを切れるという明るいレンズの恩恵を得られ、開放で撮ることにより背景もボケてくれて、より一層被写体を浮かび上がらせることもできました。どの焦点距離でもボケが綺麗で周辺光量が足りないと感じることは一切ありません。光学性能の高さがうかがい知れます。
動きものの撮影で重要なもの、それはオートフォーカス (AF) 性能です。レンズにもAFを制御するプログラム (アルゴリズム) が存在し、この制御が非常に大事であり、開発に力を注いだ部分であろうと実感しました。定評あるソニー αのAFです。スポーツ撮影においてAFの追従性能や正確さは無くてはならないもので、私もソニー αのAFに惹かれてカメラを変更した次第です。新しい70-180mmのAF性能は非常に高いレベルで制御されており、ピントを外すということは皆無でした。速く正確でもあり「この瞬間でガチピンが欲しい!!!」という私の要望にも応えてくれました。全てにおいて高レベルに進化したことは間違いないですね。焦点距離の幅もあるので、スポーツ含めた動きものから、ありとあらゆるジャンルでの撮影において重宝する、大口径望遠ズームレンズだと思います。
一枚目の写真 焦点距離:116mm 絞り:F2.8 シャッタースピード:1/800秒 ISO感度:3200 使用カメラ:ソニー α1
投てき後、ストーンの行方を真剣な表情で追いかける姿にスポットを当て、ロコ・ソラーレ内で一番表情が豊かだと思う吉田知那美選手の眼が「カッ」と見開いた瞬間を狙ってみました。瞳AFを使用していますが、AFの制御能力が高いので眼を正確に追従してくれています。F2.8の解放感も綺麗で納得の一枚になりました。
Takahito Mizutani 水谷 たかひと
1968年東京生まれ。1990年東京総合写真専門学校卒業と同時に渡仏。様々なスポーツイベントを撮影し、3年後に帰国。拠点を日本に移しスポーツイベントを追いかける。公益社団法人日本写真家協会(JPS)会員、一般社団法人日本スポーツ写真協会(ANSP)会長、国際スポーツプレス協会(AIPS)会員、株式会社マイスポーツ出版代表取締役
記事で紹介された製品
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70-180mm F/2.8 Di III VC VXD G2 a065(Model )
70-180mm F/2.8 Di III VC VXD G2 (Model A065)は、市場でご好評をいただいている大口径望遠ズーム「70-180mm F/2.8 Di III VXD (Model A056)」(以下Model A056)からさらなる進化を遂げ、第2世代「G2」モデルとして誕生しました。本機種では、タムロン独自の手ブレ補正機構VC (Vibration Compensation)を新たに搭載。クラス最小・最軽量*の機動力を維持しながら、より安定した撮影が可能です。また、初代Model A056から光学設計を一新し、ズーム全域で妥協のない高画質な写りを実現。広角端の最短撮影距離も初代の0.85mから0.3mへ短縮することに成功しており、非常に短い最短撮影距離による、本レンズならではのユニークな写真表現が楽しめます。 *手ブレ補正機構搭載フルサイズミラーレス用大口径F2.8望遠ズームレンズにおいて。(2023年8月現在。タムロン調べ)