2023.11.29
競馬写真家 武田 明彦氏が、タムロン70-180mm F2.8 G2 (Model A065)で撮る、ナイター競馬で時間の流れを感じながら
競馬写真家 武田 明彦氏が、タムロン70-180mm F2.8 G2 (Model A065)で撮る、ナイター競馬で時間の流れを感じながら


みなさん、初めまして。競馬カメラマンの武田 明彦です。今回、タムロン公式サイトのレンズインプレッションに初登場することとなりました。競馬は被写体としてとても魅力的なコンテンツだと思うので、少しでもその魅力を届けられたら、そしてみなさんと一緒に楽しんでいけたらと思います。
今回使用したレンズは、第2世代として新しくなったタムロン70-180mm F/2.8 Di III VC VXD G2 (Model A065)です。シューティングの舞台は大井競馬場と川崎競馬場。昼と夜、ドラマチックに変化するナイター開催の競馬場で撮影に臨みました。
一枚目の写真 焦点距離:180mm 絞り:F2.8 シャッタースピード:1/800秒 ISO感度:3200 使用カメラ:ソニー α1
競馬写真で最も多いもの、そして花形なのがレース写真です。そして機材のスペックによる差が顕著に表れる写真でもあります。ナイター競馬は、機材について言えば決して良い撮影環境とはいえない状況下ですが、今回のレンズは問題がないどころか、ボディの性能も相まってAFは速く正確で、思わず唸ってしまいました。
大井競馬場のパドックでの撮影です。次のレースに騎乗するジョッキーたちが騎乗の合図と共に姿を見せ、一礼をして騎乗馬のもとへ向かう瞬間を狙ってみました。自分は単焦点のレンズを使うことが多いのですが、この時はジョッキー全員の姿を収めようと考えていたので、状況に応じて瞬時に焦点距離を変えられるズームレンズはやはり便利ですね。
引き続き大井競馬場のパドックにて。これからレースへ向かう人馬をすぐ近くで撮影できるのがパドックです。陽が落ちる前の時間帯ですが陽射しもなく曇天、それでも開放F2.8の明るさとカメラの高感度性能のお陰で、感度については気にせずに撮影ができました。ユニークな馬名(ブッコワース)だったので、ゼッケンの馬名が見えるように撮った1枚です。
陽が落ちて場内の照明に灯かりが灯ると、ナイター競馬の雰囲気が出てきます。レースへと向かう人馬がコースに入場し、返し馬に入る前の一枚。競馬は基本的に動きものの撮影なので、シャッタースピードをあまり遅くすることはできません (流し撮りなどは別ですが)。となると単純に光量が足りないケースも多くなり、最低でもF値は2.8が欲しいところ。機材には過酷な状況ですがしっかりフォーカスしてくれました。
馬場の外側にある柵、外ラチの下から腕を伸ばしてノーファインダーで誘導馬を撮影。キツイ体勢での撮影ですが、レンズの軽さのお陰でさほど苦も無く撮ることが出来ました。機材が小さい、軽いというのはそれだけで大きな武器になると感じています。
大井競馬場でナイターの4コーナーを撮影。4コーナーで馬たちをアップで撮るには400mmクラスでも焦点距離が足りない競馬場がほとんど。そこでこのレンズで撮るなら、馬群全体を収めつつイメージカット風に、と考え馬群を右下に置きナイター競馬らしさを狙ってみました。競馬場にもよりますが、4コーナーはラストスパートをかける人馬の激しさを狙えるポイントなので、好きなポジションの一つです。
日中、陽射しがある場面で、返し馬の姿を撮影したものです。レース中の人馬をしっかりと止めて撮影する場合は、最低でも1/1000のシャッタースピードが必要だと感じていますが、全力疾走ではない返し馬なら1/640秒くらいのシャッタースピードでも問題はありません。
規模が大きくコースの幅もあるJRAの競馬場などは、レース写真を撮るには300mmでも足りないことがありますが、この川崎競馬場のような地方競馬では、競馬場自体がJRAに比べて小さくコースの幅も狭いため、馬のコース取りによっては70-180mmという焦点距離でも十分に大きく写すことができます。上の写真はシャッタースピードを遅くして流し撮りをしたものです。どこを流すか、どこを止めるか、どこまで遅くできるかなど、今でも試行錯誤しながら撮影しています。
大井競馬場より更に馬たちを近くで観ることが出来る川崎競馬場のパドックでのシーンです。180mmでも十分に寄って撮影することが出来ます。愛馬を曳く女性厩務員さんをフォーカスしてみました。
ナイター開催中は第1レースが14時から15時に始まるので、明るい昼間から夕暮れ時、そして夜へと時間の流れを感じながらの撮影になります。このレンズは70mmから始まるズームレンズですから、時間と共に変化する印象的な空をバックに・・・、そんなシーンとの出会いにも柔軟に対応できますね。
記事で紹介された製品
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70-180mm F/2.8 Di III VC VXD G2 a065(Model )
70-180mm F/2.8 Di III VC VXD G2 (Model A065)は、市場でご好評をいただいている大口径望遠ズーム「70-180mm F/2.8 Di III VXD (Model A056)」(以下Model A056)からさらなる進化を遂げ、第2世代「G2」モデルとして誕生しました。本機種では、タムロン独自の手ブレ補正機構VC (Vibration Compensation)を新たに搭載。クラス最小・最軽量*の機動力を維持しながら、より安定した撮影が可能です。また、初代Model A056から光学設計を一新し、ズーム全域で妥協のない高画質な写りを実現。広角端の最短撮影距離も初代の0.85mから0.3mへ短縮することに成功しており、非常に短い最短撮影距離による、本レンズならではのユニークな写真表現が楽しめます。 *手ブレ補正機構搭載フルサイズミラーレス用大口径F2.8望遠ズームレンズにおいて。(2023年8月現在。タムロン調べ)