2024.03.28
写真家 クキモト ノリコ氏が、タムロン28-75mm F2.8 G2 (Model A063) ニコン Z マウント用で出会ったベトナムの魅力
写真家 クキモト ノリコ氏が、タムロン28-75mm F2.8 G2 (Model A063) ニコン Z マウント用で出会ったベトナムの魅力


写真家のクキモトノリコです。私自身、日頃から旅に出る際に持ち出すレンズとして一番多いのはやはりズームレンズです。できるだけ荷物は少なく身軽に動きたい旅先で、様々な場面において直感的に画角を決めることができる点で優れており、さらに開放F値が明るいレンズであれば尚良しということになります。今回は、その2点を兼ね備えたタムロン28-75mm F/2.8 Di III VXD G2 (Model A063) ニコン Z マウント用と共にベトナムを訪れた際の写真を通してこのレンズの魅力をご紹介いたします。
一枚目の写真 焦点距離:47mm 絞り:F2.8 シャッタースピード:1/4000秒 ISO感度:100 使用カメラ:Nikon Z 6II
印象的な形の島々が浮かぶハロン湾ですが、数多くの奇岩が点在していることでも知られており、近くで見るとその岩肌に目を奪われます。敢えて絞りを開放のF2.8で撮影してみましたが、等倍に拡大してもその細かなディテールがしっかり表現されており、解像度の高さを実感する1枚となりました。
広角側の最短撮影距離が0.18mという近さを利用して、カラフルなノンラー(ベトナムすげ笠)にぐっと寄ってみました。丁寧な網目と、素材となる葉に塗られた塗料の手塗り感までが伝わってきます。
市場で一際目を惹かれたのが唐辛子で、できるだけ被写体に寄って開放のF2.8で撮影しました。一番広角側の28mmを使ったことで、様々な種類の野菜がやわらかくボケつつ背景に入るとともに、カラフルな玉ボケが印象的な1枚になりました。
バッチャン焼の村で出会った獅子の置物を一番望遠側の75mmで、開放から1段絞ったF4で撮影。望遠側ならではの大きさで、かつ綺麗なまぁるいボケに包まれました。また、置物に当たった光から透明感が感じられ、中でもガラスのようにも見える目が印象的です。
路地裏を歩いていた時にふと目に留まったビールの空瓶。ガラス瓶の色と、飲み口に当たった光がとても綺麗だったのですが、大きくボケることで天使の輪がたくさん浮かんでいるような印象の写真になりました。暗い路地裏では、開放F値が2.8という明るさが撮影を助けてくれます。
少し傾いた日差しの中、ちょうど正面に太陽があったので、絞りを大きく絞って木の隙間で光条を作りました。光条はレンズによってその出方が違いますが、きれいな光条を作り出してくれると共に、逆光においても暗部をしっかり表現してくれています。
街中を縦横無尽に走り回る、自転車の前に座席を設けたタクシー「シクロ」。すぐ横を通り過ぎたシクロを咄嗟に撮影しましたが、高速・高精度なAF機構であるリニアモーターフォーカス機構VXD (Voice-coil eXtreme-torque Drive) により、素早く被写体にピントを合わせてシャッターを切ることができました。
陸のハロン湾とも呼ばれるタムコック。その特徴的な光景を見下ろすスポットからの撮影は、日没の1時間前くらいの時間でした。左斜め前からの半逆光でしたが、複雑な形の山々の隙間から差し込む夕方のやわらかな光の明暗差や、山肌の陰影を見事に描いてくれています。
まるでアートのように並べられているのは、乾燥させるために並べられた色とりどりのお線香。手前から奥まで、束ねて広げられた芯材の細かな先端をしっかりと描写してくれています。