2024.03.28
写真家 藤村 大介氏がタムロン28-75mm F2.8 G2 (Model A063)ニコン Z マウント用で撮る、チュニジアの旅
写真家 藤村 大介氏がタムロン28-75mm F2.8 G2 (Model A063)ニコン Z マウント用で撮る、チュニジアの旅


ラクダも4WDも砂漠の足。スピードは遅いけれどラクダは遠くまで歩いて行けます。4WDのドライバーは砂漠に入るためにベルベル族の衣装に着替えていました。砂漠に対する気持ちの現れですね。小さなレンズなので警戒心を持たせずギリギリまで近寄れ、人物では咄嗟に絞り開放で背景をボカすことも容易でした。
地の果てのような風景が広がる山の上に、突如現れる集落。真夏は50℃を超え冬は氷点下にもなることがある過酷な地の住居は穴の中。風景や建築撮影では解像感が重要です。道を歩く人や建物のディティール、山並みのトーンまでもが美しく表現できており、単に小型軽量を求めたレンズではないことを証明しています。
街歩きスナップはとても楽しいものです。整った構図のキマッた景色も良し!素敵な路地裏で情緒的なシーンに出会うこともしばしば。美しい門と緑の前で一枚。チュニジアはアフリカですが、最もヨーロッパに近い文化を持つ地中海沿いの国なのです。一日中歩き回っても全く疲れを感じさせない小型軽量なレンズは、旅スナップだけどちょっと良い写真も撮りたいな、というのに最適なレンズと言えます。
首都チュニスは大都会。フランス統治時代の名残を色濃く残す街並みはガス灯がよく似合います。ここでは絞り込み光芒で煌びやかな演出を。まるでアフリカとは思えない、ヨーロッパのような夜景になりました。ガス灯の光が強いのでゴーストなどの出現を心配していたのですが、そんな心配は全く無用でクリアな写真を撮影できました。
標準ズームは旅の常用レンズ。それゆえ使用頻度が高くなるので、信頼度も高いレンズでなければなりません。だからこそ撮り直しの効かない海外ロケでは、今までは高級レンズに頼ることが多かったのです。しかし一日中歩き回ることが多い海外スナップでは、少しでも軽いことは絶対的に有利です。その反面、機能で劣るということもないこのレンズを使えば、今後はその苦労もなくなりそうです。FXフォーマット(フルサイズ)対応で開放F値2.8でありながら軽量コンパクト、高画質な標準ズームは、まさに「標準」となるズームレンズだと思います。私は夜景も多く撮影しますが、強い点光源の処理にはいつも頭を悩ませています。フレアやゴーストが暗い夜景撮影時には気づかず、撮影後に発見しガッカリということが多々。逆光に強いレンズは、夜景撮影にも強いのです。

Daisuke Fujimura 藤村 大介
写真家。1970年香川県生まれ。日本写真芸術専門学校卒。植村 正春氏に師事、その後独立。海外500都市以上を取材し、世界遺産や街並み、建築、夜景、文化、歴史、風俗、生活などを撮影。日本初となる海外夜景のみでの個展を開催した夜景写真のパイオニア。近年の創作テーマは「宇宙へ繋がる人の心」。全てを包む宇宙と、人との間にある部分を写真で表現したいと創作を行っている、一般社団法人日本旅行写真家協会 副会長、公益社団法人日本写真家協会 正会員、ウィステリアフォトクラブ主宰、X-Photographer、日本大学藝術学部、ニコンカレッジ、アカデミーX講師