2022.11.29
写真家 HARUKI氏が、ソニー Eマウント用大口径標準ズーム タムロン20-40mm F2.8 (Model A062)で郷愁を探す旅
写真家 HARUKI氏が、ソニー Eマウント用大口径標準ズーム タムロン20-40mm F2.8 (Model A062)で郷愁を探す旅
![写真家 HARUKI氏が、ソニー Eマウント用大口径標準ズーム タムロン20-40mm F2.8 (Model A062)で郷愁を探す旅 20-40mm F2.8 A062 作例 HARUKI](/jp/consumer/article_file/file/a062_haruki1.webp)
![写真家 HARUKI氏が、ソニー Eマウント用大口径標準ズーム タムロン20-40mm F2.8 (Model A062)で郷愁を探す旅 20-40mm F2.8 A062 作例 HARUKI](/jp/consumer/article_file/file/a062_haruki1.webp)
皆さん、こんにちは。写真家のHARUKIです。
ここ数年秋になると2週間あまり、講師を務める大学のある新潟県の長岡市に滞在しており、仕事の空いた時間には機材を携え、プチ撮影旅行を繰り返しています。新潟の日本海側の風景は、南に太陽がある瀬戸内海を身近に見ながら育ったボクにとって、光線はもちろん、空も海も建造物さえもあまりに違った環境なので、ある意味言葉と文字が通じる外国へ訪れたような感動をおぼえることさえあります。
今回は新製品の大口径標準ズームレンズタムロン 20-40mm F/2.8 Di III VXD (Model A062)を旅の相棒として、レンズと二人三脚で秋の日本海沿岸地域を「郷愁(ノスタルジー)」を感じられる光景との出会いを求めて巡ってきました。
一枚目の写真 (焦点距離:20mm 絞り:F8 シャッタースピード:1/500秒 ISO感度:200 使用カメラ:ソニー α7R Ⅳ)
秋雨が続いたこの日の午後も雨模様。日本海までクルマを走らせ車中で待機。日没時刻15分前に、あきらめて帰ろうとエンジンをかけた瞬間、暗い雨雲のカーテンの隙間から水平線へ沈む直前の太陽が顔を見せて、最後の力を絞り出すようにスポットライトを放ちました。思わず駆け出して夢中でシャッターを切っていました。
20-40mm F2.8の最大の特長と言えば、その焦点距離です。これまでのワイド系ズームレンズといえばメーカーを問わず、スタートが16mm以外では24mmか28mmスタート。望遠端35mm止まりが多かったところへ、広角端20mmスタートで、望遠端は準標準とも言える40mm。フルサイズセンサー対応でありながら、この焦点距離でF2.8通しのズームレンズは、ボクの知っている範囲ではおそらく初めてじゃないかと思います。
開放値がF2.8通しでも軽量コンパクトであるのは勿論魅力的なのですが、このところ多くのレンズでタムロンが展開しているフィルター径φ67mmシリーズ規格にもなっています。撮影時に数種類のレンズを持ち歩く方には、このフィルター径が統一されていることが、どれだけの利便性を生み出しているのか、共感していただけると思います。
大学の敷地内にあるビオトープで植物の1本に近接からフォーカスして撮影。逆光で煌めく背景の池の水面が美しい玉ボケになってくれたので朝の印象が表現出来ました。
参道へ続く暗い森の入口にかかる赤い欄干は、いつ見ても神の領域の門のように感じてしまいます。2段絞ったF5.6ではフォーカス範囲が深まると同時に、画質もグッと向上してよりいっそう鮮明になります。
廃校となった小学校の下駄箱。木の床、木造校舎のくすんだ匂いは今となっては懐かしい想い出です。
赤ちゃんの掌のような小さなもみじが一対落ちていました。準マクロ的な至近距離での撮影が可能なので、被写体に思いっきり寄って、クローズアップ撮影をしてみました。合焦部分のリアルな表現力は流石です。
もみじを撮影していたら小さなトンボがロープの上へとまったので、位置を変えて逃げないようにそっと近づいて接写。画面左下に赤くボケて見えるのが先ほどのもみじです。AFの作動音はほとんど聞こえないので影響はないと安心していましたが、トンボの視力はめちゃくちゃ良いらしくて、撮影と同時に飛んで逃げられてしまいました。
遠くの方で黒い雨雲が垂れ込めている様子を撮影しようとクルマのエンジンを停めて出てみたら、何やら賑やかな鳴き声が聞こえてきました。画面の中央部だけに一瞬光が射した瞬間にシャッターを切り、プレビューを拡大して見ると、そこには声の持ち主たちの姿がありました。
午後の光線が木々の間を抜けて曇りガラスへ差し込んでいます。古い木造建物の窓枠手前の桟に、開放でピントを合わせて撮ると、後方は自然にボケていき、奥行きが感じられます。
窓から入った光線が床面に乱反射して、美しい生き物のように揺らめいています。
木造や軽鉄骨で出来た昭和の建物が大好物です。半分シルエットの姿には哀愁さえ感じてしまいます。西陽がガラス越しにこちらへ向かってきていたので、これを利用して光条が出るように絞り込んでみました。完全逆光でも充分使えるコーティング性能に感謝です。
まだ夕方5時前だというのに釣瓶落としのようなスピードで日没が迫ります。ライトを点灯して停車中の路線バスのガラスに、西陽が反射している光景を見ると、深くなる秋を感じます。
海に沈む夕陽と鉄道の絡みは、テッチャンではなくても、旅心がシャッターを切れと誘ってくるシーンが日本海にはあります。この時ばかりはボクにも演歌が聞こえてきました。
陽が短くなった季節は残照を楽しむ時間もあっという間です。暗くなった帰り道、クルマを走らせながら、この美しい夕焼け空や日本海に、また来年も会いに来られたら良いなと思う光景でした。
常日頃から思っていることですが、カメラもレンズもミラーレス時代においては軽量&コンパクトであることは、絶対必至な正義だと痛感しています。今回使用した20-40mm F2.8は、「クラス最小・最軽量」と謳っているように、長さ86.5mmで質量365gとF2.8の明るさを保ちながらも本当にコンパクトな設計。しかも、カメラへ装着した撮影状態でバランスが良いのは勿論、携帯性にも優れているので、長年の頸椎ヘルニアンのボクでも首から長時間ぶら下げたまま歩きまわっても疲れにくく、被写体探しや撮影自体に集中できました。
広角端の20mmはこれまで使用してきたほとんどのワイドズームレンズの焦点距離に含まれていたので、昔から慣れ親しんでいましたが、40mmという焦点距離に触れる機会は少なく、最初は戸惑っていました。しかし、使っていくうちに徐々に慣れてきて、今では自分の目が40mmの画角に標準レンズのように対応するようになっています。
20-40mm F2.8は、決して派手な画面造りや映像表現をするためではなくて、日常や旅先での出来事やリアルな感情を表現し、心と目で感動したことを写真として記録していく役割を担ってくれる、そんな身近な相棒として頼もしい存在。まさに新標準ズームレンズといえる1本だと思いました。
![](/jp/consumer/article_file/file/profile_haruki.jpg)
HARUKI HARUKI
広島市生まれ。大学卒業後、上京しフリーランスとしてポートレート撮影を中心に活動。「第35回朝日広告賞・表現技術賞」「100 Japanese Photographers」「パルコ期待される若手写真家展」等に選出、個展多数開催。近年は世界各国でのスナップショット撮影やエッセイも執筆。プリント作品は国内外の美術館などに収蔵。九州産業大学芸術学部・客員教授、長岡造形大学・非常勤講師、日本写真家協会正会員。
記事で紹介された製品
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20-40mm F/2.8 Di III VXD a062(Model )
20-40mm F/2.8 Di III VXD (Model A062)は、携帯性を徹底的に追求した、新たな大口径標準ズームレンズです。超広角20mmからはじまり、標準域の40mmまでをカバーしながら、クラス最小・最軽量のサイズ感。ズーム全域で美しい写りも実現しており、静止画撮影だけでなく、Vlogなどの動画撮影にも活躍します。静粛性・俊敏性に優れたリニアモーターフォーカス機構VXDを採用し、高速・高精度なAFを実現。静止画・動画問わず気軽に持ち出し撮影を楽しむことができる、今までにない新しい大口径標準ズームレンズです。