2022.09.23
写真家 今浦 友喜氏が超望遠ズーム、タムロン150-500mm F5-6.7 (Model A057)富士フイルムXマウント用で撮る風景写真、全11カット
写真家 今浦 友喜氏が超望遠ズーム、タムロン150-500mm F5-6.7 (Model A057)富士フイルムXマウント用で撮る風景写真、全11カット
風景写真、ネイチャー写真で望遠ズームレンズは大いに役立ちます。一箇所の撮影ポイント、一つの被写体においても望遠ズームがあれば切り取りの風景でバリエーションカットを量産でき、フィールドで近寄りにくい生き物をぐっとクローズアップして大きく写すことも容易です。
今回、新たに富士フイルムXマウント用が登場した、タムロン150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD (Model A057)をいつものフィールドで試してみました。富士フイルムXシリーズはAPS-Cセンサー搭載のシステムのため、本レンズは35mm判換算で約225-750mm相当という超望遠ズームレンズに変わります。私は風景写真に加え、鳥や生き物なども撮影するハイブリッドタイプのフォトグラファーで、一般的に使いやすい200mmから、動物などを捉えやすい750mmという超望遠域まで、1本のレンズで対応できるのは嬉しいことです。荷物を減らしたいフィールドカメラマンにとって、このズーム域は良い選択肢となりそうです。レンズ重量も三脚座込みでも比較的軽量な1,865gとなっているのもいいポイントです。
写りに関しては、広角側はキレキレ、望遠側は柔らかく、焦点距離による変化も面白い一本です。風景などで使いやすい広角側から中間域では、開放F値から非常にシャープで画面四隅まで安定しています。望遠側では、輪郭やボケがやや柔らかくなり、望遠ボケを生かした作品などにマッチします。最短撮影距離が超望遠ズームとしてはかなり短めの広角端0.6m、望遠端1.8mとなっているのも気に入りました。夏場は昆虫を撮影することも多い私にとって、この近接性能はとても頼りになります。また、元々がフルサイズ用の製品であるため、使用しているレンズの範囲も中央付近に限られていることから、ボケの形や質感はズーム全域で安定している印象を受けました。
ズームリングを任意の位置で簡易的にロックできるフレックスズームロック機構は、フレーミング作業の安定化や、持ち運び時のレンズ鏡筒の自重落下防止などに有効で、とても使いやすいです。また、富士フイルム用にはマニュアルフォーカスのピント移動スピードをスローにして、より厳密なピント合わせを可能にする「MF SPEED」スイッチというユニークな機能が搭載されており、三脚を立ててじっくり画作りしたい時に役立ちます。圧倒的な超望遠撮影、適度なサイズ感、安定した画質が揃った一本、150-500mm F5-6.7は風景写真の撮影者やネイチャーカメラマンにとって超望遠撮影を身近にしてくれるレンズです。
Yuki Imaura 今浦 友喜
1986年埼玉県生まれ。風景写真家。雑誌『風景写真』の編集を経てフリーランスになる。自然風景、生き物の姿を精力的に撮影。雑誌への執筆や写真講師として活動している。公益社団法人 日本写真家協会 会員(JPS)・アカデミーX講師