2023.06.30
星空写真家・タイムラプスクリエイター 成澤広幸氏がタムロン11-20mm F2.8 (Model B060)富士フイルムXマウント用で撮る星景・風景
星空写真家・タイムラプスクリエイター 成澤広幸氏がタムロン11-20mm F2.8 (Model B060)富士フイルムXマウント用で撮る星景・風景

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私が得意とするタイムラプス撮影は、時間の経過を表現するものすべてが被写体となります。昼間の風景から星空まで、撮影時間に制限がないのが特徴で、海から山、室内での撮影と多岐に渡ります。
今回は富士フイルムXユーザー待望のレンズ、APS-Cミラーレス一眼カメラ対応のタムロン11-20mm F/2.8 Di III-A RXD (Model B060)を使用して、夏の星空や登山で見た風景を撮影してきました。35mm判換算16.5mm-30mm相当という超広角から標準までをこなす、F2.8通しでマクロ撮影も楽しめるこのレンズは、さまざまなシーンで活躍してくれました。富士フイルムX-S10、X-S20、X-T5との組み合わせで撮影した作品とインプレッションをお届けします。
一枚目の写真 焦点距離:11mm 絞り:F2.8 シャッタースピード:10秒 ISO感度:6400 使用カメラ:富士フイルムX-S10 フィルムシミュレーション:ETERNA (撮影後にRAW現像にて調整)
1枚目の画像は、北海道幌加内町にある、オブジェと星空の星景写真です。鏡面で仕上げられたオブジェに星々が写り込んでいました。
1枚目画像の縦構図バージョンで、もっとオブジェに近づいて低いアングルから撮影してみました。超広角レンズであればF2.8でもより被写界深度が深くなるため、前景との距離を縮めることにより、星空までの遠近感を演出しやすくなるというメリットがあります。また、中央に向かって集中しているようなパースペクティブも撮影時に意識するべき特徴でしょう。遊び心で中央のオブジェの先端に、こと座のベガを配置した構図としてみました。
大きな建造物と星空の構図は超広角レンズとの相性が良いです。900秒の長秒露出で連続撮影した4枚の画像を比較明合成し、1時間の星の軌跡を表現しました。星の色もしっかりと表現されており、建物の歪みも少なめで素直な描写性能を持つレンズだと言えます。
上の2枚は焦点距離別の比較画像です。タムロン11-20mm F2.8はF2.8通しのズームレンズであるため、焦点距離を変えてもF値を同じ設定のままで撮影することができます。こうした異なる描写を使い分けられるのが超広角ズームレンズの便利なところ。星景写真で気になる周辺の星像ですが、広角端11mmでは、地球の日周運動の影響もあり若干星が流れて写ることがありますが、横に広がるようなコマ収差は少なく、描写は星景写真向きと言えるでしょう。価格を考えるとコスパに優れた充分な描写性能が備わっていると感じました。
11-20mm F2.8は、レンズフードがぶつかるのではというくらい被写体に近づくことができます。広角側で撮影すると、マクロと風景が共存する不思議な光景を撮影することができます。最初の写真は紫陽花の後ろに雲海が広がっていましたので、可能な限りパンフォーカスに近づけるために絞り込んで撮影。2番目の写真は、紫陽花にバッタがしがみついていたので、F2.8開放にして背景をぼかし、被写体を浮き上がらせました。空の部分の輝度を下げるためにハーフNDフィルターを使用しています。
最後の3枚は20mmで撮影しています。20mmは、35mm判換算で30mm相当の焦点距離となり、私が普段使いで多用する焦点距離です。余分な情報を取り除き、構図内をすっきりとさせるには、もっとも使いやすい焦点距離だと思います。
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Hiroyuki Narisawa 成澤 広幸
1980年5月31日生まれ。北海道留萌市出身。埼玉県在住。 星空写真家・タイムラプスクリエイター・YouTuber。公益社団法人日本写真家協会(JPS)正会員。富士フイルム・アカデミーX講師、ニコンNPS会員。全国各地のカメラ専門店・量販店で星空撮影セミナーを多数開催。カメラ雑誌・webマガジンなどで連載を担当。 星空写真全般(星景・天体)と、幅広い被写体のタイムラプスを撮影。特に「Holy Grail」と呼ばれる夕焼け〜星空〜朝焼けのタイムラプス表現を得意とする。 写真スタジオ、天体望遠鏡メーカーでの勤務の後、2020年4月に独立。動画撮影・編集技術を磨くべくYouTuberとしての活動を本格的にスタート。さまざまな情報発信に努めている。
記事で紹介された製品
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11-20mm F/2.8 Di III-A RXD b060(Model )
11-20mm F/2.8 Di III-A RXD (Model B060)は、大口径F2.8でありながら小型軽量と高い描写力を実現。コンパクトなAPS-Cサイズミラーレスカメラボディとのバランスもよく、普段使いとして最適です。広角端11mmでは最短撮影距離0.15m、最大撮影倍率1:4と驚異的な近接撮影能力を実現し、パースペクティブの効いたデフォルメ効果を活かしたワイドマクロ撮影が可能。また、AF駆動には静粛性に優れたステッピングモーターユニットRXD (Rapid eXtra-silent stepping Drive)を搭載しており、静止画だけでなく動画撮影にも適しています。加えて、屋外での撮影を考慮した簡易防滴構造や防汚コートを採用するなど、超広角大口径F2.8の高画質を手軽にお楽しみいただくことができる、実用性の高いレンズです。