2022.10.14
写真家 米屋 こうじ氏が超望遠ズーム150-500mm F5-6.7 (Model A057) 富士フイルムXマウント用で撮る、鉄道のあるシーン
写真家 米屋 こうじ氏が超望遠ズーム150-500mm F5-6.7 (Model A057) 富士フイルムXマウント用で撮る、鉄道のあるシーン
こんにちは、鉄道写真家の米屋こうじです。レールを輝かせて迫って来る列車を迫力あるアングルで狙いたいとき、また撮影場所が制約されるときなど、鉄道写真撮影には望遠レンズが欠かせません。焦点距離が長くなればなるほど圧縮効果が高まりさらに迫力を増すことができます。望遠端500mmという超望遠ズームレンズのタムロン 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD (Model A057)富士フイルムXマウント用レンズで、新幹線からローカル線まで鉄道のあるシーンを撮影しました。
一枚目の写真 焦点距離:500mm 絞り:F6.7 シャッタースピード:1/1250秒 ISO感度:400 使用カメラ:富士フイルムX-H2S フィルムシュミレーション:ASTIA
東海道・山陽新幹線N700S系を望遠端500mmで狙いました。富士フイルムのXマウントはAPS-Cサイズのため、望遠端の焦点距離は35mm判換算で750mm相当。足場が急斜面のため手持ちでの撮影ですが、列車を大きく捉えたい場合は画面からはみ出ないよう注意が必要です。手ブレ補正機構VC、AFの追従性能、主題の列車を画面の隅に置いても安心なレンズの描写力と、機材を信頼してフレーミングに専念。ちょうど対向から来た列車とすれ違うドラマチックなシーンを撮影できました。
高速かつ高精度に駆動するリニアモーターフォーカス機構VXDを搭載、静かにスッとピントが合焦して心地よい使用感があります。富士フイルムの新型カメラは第5世代と呼ばれる新センサーとエンジンを搭載し、AFや電子シャッターの性能が大幅に向上しています。
今回はそんなXシリーズ第5世代のカメラと150-500mm F5-6.7の使い心地も確かめることができました。40コマ/秒の電子シャッターで連写した場合、なかにはピントが外れたコマもありましたが、コンティニュアスAFは問題なく追従し、被写体検知AF「電車」もしっかり捕捉し追従してくれました。
また、3つのモードから選択できる、手ブレ補正機構VCがガッチリと効いて、望遠側でのブレ防止、低照度下での手持ち撮影はもちろん、安定したファインダー像を得られることでフレーミングに集中することができました。鉄道撮影では流し撮り専用モード「モード2」があるのも嬉しいところです。
超望遠ズームレンズは遠景を撮影するものというイメージがありますが、この150-500mm F5-6.7はそんな概念が当てはまらないようです。広角端150mmで0.6m(望遠端500mmでも1.8m)と、被写体にかなり近寄ったテレマクロ撮影ができます。屋外や室内の細かな埃が舞う場所などで、近撮可能なレンズに交換する手間を省くことができて重宝しました。加えて、カメラブレが気になるマクロ撮影では、手ブレ防止機構が重要なポイントです。
そもそも、超望遠レンズ撮影時にブレを抑制してくれる手ブレ補正機構VCの効き目は確認をしていましたので、低速シャッターでも躊躇なく撮影に臨むことができました。近寄ることができない被写体をアップで捉えたり、低照度下での手持ち撮影が可能であったりと、このレンズによって撮影条件が広がり、様々な表現を楽しむ事ができそうです。
収納時の全長が209.9mmと超望遠ズームレンズとは思えないコンパクトさで、公共交通機関で移動する場合には一つのカメラバックで出かけることができて助かりました。もともとフルサイズ用に設計されたレンズとあり、APS-Cセンサーの富士フイルムXシリーズのカメラでは余裕の解像性能を実感。AF性能も、レンズフードの先端に貼られた保護用ラバーや、全ての焦点距離で固定できるフレックスズームロック機構など、タムロンらしい小技の効いた配慮に心がくすぐられました。なかでも、アルカスイス対応三脚座にストラップホールが設けられているのは、ボディが軽量なXマウントユーザーには嬉しいところ。持ち運びの際、マウントにかかる負担を軽減してくれます。企画・設計から優しさが伝わってきました。