2021.10.21
写真家 大村 祐里子氏が、新製品タムロン35-150mm F2-2.8 (Model A058)で移りゆく表情を逃さず「捉える」
写真家 大村 祐里子氏が、新製品タムロン35-150mm F2-2.8 (Model A058)で移りゆく表情を逃さず「捉える」


こんにちは。写真家の大村祐里子です。
今回は、新発売となるフルサイズミラーレス一眼カメラ対応のソニー Eマウント用大口径望遠ズームレンズ、タムロン35-150mm F/2-2.8 Di III VXD (Model A058)をご紹介させていただきます。このレンズは、準広角35mmから望遠150mmまで、ポートレートでよく使う焦点距離をカバーしている「ポートレートズームレンズ」です。
私は普段、お仕事でポートレート撮影をする機会が多く、その際に特に大切にしているのが、モデルさんの表情の移り変わりをしっかり観察し、捉えるということです。ただ「捉える」のは意外と難しかったりします。レンズ交換をしている間に良い一瞬を逃してしまった、ということも……。
しかし、このレンズを使えば、レンズ交換することなく、理想の画角でモデルさんの良い表情を追い続けられるのではないでしょうか!……と、期待に胸を膨らませて、35-150mm F2-2.8をα7R IVに装着してポートレート撮影をしてみることにしました。
このレンズは、非常にしっかりとした作りをしていて、ホールドしたときに安定感があります。いままでのレンズと少し違う佇まいに、性能の高さが伺えるような気がしました。
一枚目の写真( 焦点距離:94mm 絞り:F2.8 シャッタースピード:1/60秒 ISO感度:400 使用カメラ: ソニー α7R IV)
モデルさんが可愛い笑顔をこちらに向けてくださったので、すかさずシャッターを押しました。94mmというやや長めの焦点距離を選び、絞りを開放にして周りを大きくぼかし、彼女の笑顔が浮き立つような一枚に仕上げました。瞬時にいい表情を理想的な画角で切り取れるのは最高に気持ち良いです。ピント面にはキレがあるのに、ボケ感は優しいという描写も、このシーンにぴったりだったように思います。
雨の庭、という情景を写したかったので広角で撮影しました。人物を広角で撮るときは、歪みもほぼなく、撮影者の視界に近い画が撮れる、35mm付近の使用頻度が最も高いです。このレンズが35mm始まりなのは嬉しい限りです。αシリーズの瞳AFと併せて使えば、広角使用時に、人物の顔がフレーム内で小さくなってしまったときでもピント合わせの心配をしなくて良いので楽でした。
急にモデルさんの表情が大人っぽくなった瞬間があったので、とっさにシャッターを切りました。表情に注目したかったので、102mmという長めの焦点距離と、絞りを開放にしてモデルさんの表情が強調されるような画作りをしました。今だ!と思った瞬間に、広角から望遠に焦点距離を変更できることの恩恵を感じた一枚でした。
モデルさんが傘を持ちあげて楽しそうな雰囲気を出してくれたので、それをまるごとおさめたいと思い、焦点距離を35mmに戻し、全身が写るようにしました。前の写真と同じくらいの位置から撮っているのですが、このように一瞬で画角を変更できると、写真の「撮れ高」が格段に上がるなと思いました。
このレンズの魅力は、広角端で、開放F値がF2であることです。35mmでも絞りF2にすれば、手前の葉を大きくぼかして、奥行きのある画を撮ることもできます。F2という開放F値が、広角側でも表現の幅を広げてくれているように思います。
窓から弱い光が差し込む場所で、モデルさんの黒い瞳に吸い込まれそうな瞬間があったのでシャッターを切りました。肌のグラデーションや、モデルさんの瞳や髪の黒の質感が、目で見た通りに描き出されていて、あとで写真を見返すと、まるで彼女がそこにいるようだなと思いました。ピント面からのボケ味も、嫌みがなくてとてもいいなと感じました。
モデルさんがラフに座っている感じも良かったので、さきほどの写真と同じポジションから焦点距離を35mmに変更して撮影しました。雰囲気を壊すことなく画角を変えられるのはやはりありがたいです。
うっすらとした逆光に照らされて、何かを考えているようなモデルさんの表情がいいなと思いました。顔の輪郭に入るハイライト、そこからなだらかに始まる影のグラデーションがきれいだなと感じたのですが、写真でもそれがしっかりと再現されていて嬉しくなりました。このレンズは、こういった繊細な光をどんどん使いたくなります。F2.5で撮影しても、十分大きなボケ味を楽しめます。
背の高い植木の前にモデルさんが立ってくれました。隅々まで写し取りたいと思ったので、F4まで絞ってみました。画面全体が引き締まるように感じられる、F4あたりの描写も好みだなと思いました。周辺減光もほとんどなく、ニュートラルな印象です。
かなり暗い部屋だったのですが、モデルさんの表情がキラキラしていたので、それに合わせて明るく優しい雰囲気に仕上げてみました。楽しそうな全体像を写したかったので広角側を使いましたが、絞りをF2にしたので、背景が大きくゆるやかにボケて、部屋の雰囲気に合った画となりました。また、F2まで絞りを開けられると、暗い場所でもISO感度をむやみに上げなくて済み、非常に助かります。
モデルさんの表情が急に変わったので、急いで望遠側にして、視線に注目するような一枚にしてみました。このレンズは150mmまで使えるので、歪みのない、表情や視線に着目したアップの写真も大得意です。肌色の再現も自然で、とても好みです。
35-150mm F2-2.8 (Model A058)は、撮影中にレンズ交換の心配をすることなく、理想の画角でモデルさんの良い表情を追いかけることだけに集中できました。
ただ、それだけではなく、レンズの描写に関しても一切の妥協が感じられず、ズーム全域で良い描写が得られたので、撮った写真を確認するたびに驚いてしまいました。また、広角端の開放値F2というのは、大きなボケを使いたい!と思ったときにストレスなくボケ味を楽しめますし、ポートレートでの表現をぐんと広げてくれると思いました。
仕上がった写真は、どれもが自分の好きな写真ばかりでした。仕事でも、これ一本で勝負しても問題ないと思うほどです。35-150mm F2-2.8 (Model A058)は、ポートレートを撮影されるすべての方に使っていただきたいレンズです!
モデル:森田ハンナ
ヘアメイク:弾塚凌