2018.02.20
写真家 米屋 こうじ氏の超望遠高倍率ズーム18-400mmで、山形鉄道を撮る
写真家 米屋 こうじ氏の超望遠高倍率ズーム18-400mmで、山形鉄道を撮る


秋の一日、山形県を走るローカル線「山形鉄道」を撮影して過ごしました。沿線には長閑な田園地帯が広がっています。相棒のレンズは18-400mm F/3.5-6.3 Di II VC HLD(Model B028)。ズーム比が22.2倍という、これだけズーム域の広いレンズですから今日はこれ一本のみ。機材が軽いと心も軽くなります。
一枚目の写真( 焦点距離:400mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/500秒 ISO感度:800)
早朝は朝靄の立ちこめるコンディションでしたが、さっそく望遠端400mmの威力を確かめようと、直線が見通せる場所で正面から列車を狙いました。鉄道写真は望遠レンズの使用頻度が高いジャンル。場所的な制約が多く「あともう少し焦点距離が長ければ」と思うこともしばしばです。このレンズの望遠端400mmは35mm判換算で620mm相当という超望遠の領域で、長さはじゅうぶんです。画面の不要な部分の整理から圧縮効果をいかした撮影、迫力のアップ狙いなど、鉄道写真にうってつけと言えます。これが収納時には全長約12センチというコンパクトに収まり、携行もラクで嬉しいところ。
車両アップの次は田園地帯を走る列車をワイド端18mmで黄金色の稲穂に寄って撮影しました。先ほどの望遠端で撮影した写真と同じレンズとは思えない画角の違いを実感。22.2倍のズーム比に驚きました。
田園を離れ、次に訪ねたのは古い木造駅舎。今回訪ねた「山形鉄道」は、山形新幹線も停車する赤湯駅と終点の荒砥駅を結ぶ全長30.5kmのローカル鉄道で大正期に全線開通しました。沿線には、そんな大正時代に建てられた木造駅舎が2棟残っています。そのひとつ「羽前成田駅」を駅前通りから望遠で狙うと、圧縮効果で駅の背後にある防風林が強調されました。駅のすぐ前から見るのとは違った、レンズを通した新たな発見がありました。
そのまま駅舎に向かい、今度はワイド端で駅舎内のきっぷ売り場の周囲を撮影。木造の雰囲気とともに、木目模様まで詳細に描写してくれました。
このレンズを使用して驚いたのは、かなりの近接撮影ができることです。ズーム全域で45cmまで寄って撮影ができます。望遠端400mmの最短撮影距離でもう一棟の木造駅舎「西大塚駅」の待合室にあるベンチの表面を撮影。年輪の浮き上がった木目の表情を切り取ってみました。
高倍率ズームながら、テレマクロとして使えるのに「何て自由自在なレンズだろうか」と感心。また、マクロ撮影ではカメラブレが心配ですが、手ブレ補正機構「VC」がアシストしてくれ、安心して撮影に専念できました
駅の撮影を終え列車に乗ると、線路脇にススキが穂を出しているのを発見。傾きかけた太陽に輝くススキを背景に列車を狙います。ピントは主題であるススキで列車は後ボケになりますが、ヘッドライトの滲みなどボケ具合に嫌みがなく好感が持てる描写です。
また列車のヘッドライトを正面から拾った際のゴースト、フレアーも今回撮影したケースでは特に気にならない仕上がりでした。また、どちらも同じ望遠端400mmで撮影していますが、手ブレ補正機構「VC」の効果でカメラブレせずに撮影できました。特に日没直後のはシャッター速度も1/250秒と、焦点距離400mm(35mm判換算で620mm相当)の手持ちにはやや厳しいと思われましたが全く問題ありませんでした。
「秋の日はつるべ落とし」と言いますが、太陽が西の山の端へ隠れてしまうと、夜の訪れはあっという間です。夕方と夜の間の僅かな時間、レンズをワイド側にセットし画面に細い「月」を入れ込んで列車を捉えます。低照度下で夕暮れ空の細やかな階調を再現してくれました。
最後に夜の鉄橋を渡るシーンを流し撮りして一日の撮影終了。古い橋のトラスが列車のヘッドライトに浮かぶ様子を捉えることができました。
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18-400mm F/3.5-6.3 Di II VC HLD b028(Model )
18-400mm F/3.5-6.3 Di II VC HLDは望遠端400mm、ズーム比22.2倍を達成した超望遠高倍率ズームです。広角から超望遠までの全域で、すぐれた光学性能を実現。さらに、最大撮影倍率が1:2.9であるため、テレマクロ撮影もお楽しみいただけます。旅行中に目にした風景や建造物、人物、草花はもちろん、超望遠ならではの動物やスポーツといった被写体まで、この1本で撮影できます。