2018.02.20
写真家 田中 達也の大口径望遠ズームSP 70-200mm F2.8 G2で日本の風景を撮る
焦点距離70-200mmは自然風景の撮影の中で、もっとも頻繁に活用する焦点域と言われています。私の作品を振り返ってもこの領域がずば抜けて多いのです。これは狭い日本のフィールドに適した画角が得やすく、中望遠レンズの程よい圧縮効果もあり作画しやすい利点があるからでしょう。
使用頻度の高いレンズだからこそ撮影道具としての満足感が必要です。私にとってSP 70-200mm F/2.8 G2 (Model A025)は、愛着を感じるレンズということ。これは非常に感覚的な言い方ですが、レンズを道具として選ぶ場合の重要なポイントです。どんな場面でも扱いやすく信頼できる機材が欲しいというのは私のこだわりかも知れませんが、簡単に言えば「言うことを聞いてくれるレンズ」ということです。その資質がこのレンズにはあるのです。
手に取ってじっくり眺めると分かりますが、スマートな肌障りのよい表面仕上げで、高級感を漂わせるデザインです。細部までこだわり抜いたボディ設計は、操作する手に馴染みやすく一体感を感じられます。
特にズームやピントなど頻繁に扱うリングの幅や回した時の抵抗感は決して軽々しくなく、構図やMFでのピント位置を追い求めることの多い私には、緻密なフォーカシングができ、決めた位置が不用意に動かない点が特に気に入っています。また手持ち撮影時の疲れの少なさも特長のひとつ。ボディに装着した際のレンズのバランスが良く、重さを感じさせないため、手持ち撮影したくなるレンズでもあります。
そんなお気に入りレンズの描写力は作品でも解説しますが、抜けよく程よいコントラストでしっとりとした質感を見せてくれます。こうした描写力の影に絞り羽根9枚が貢献しています。羽根の枚数が多いため絞り込んでも円に近い均一な光が入り、解像度が高く柔らかな描写を見せてくれます。これが落ち着いた質感描写に繋がっているのでしょう。
書ききれないほどの魅力があるレンズですが最後にアルカスイス規格対応のレンズ台座が標準装備されたことで素早く確実にセットでき重宝しています。
Tatsuya Tanaka 田中 達也
医療ソーシャルワーカーを経て自然写真家として独立。身近な自然や風景、星空やオーロラなど幅広く撮影活動を行い、繊細で力強い作風を特徴とする。オーロラと風景を組み合わせた一連の作品は海外からも高い評価を受ける。最新著書に「情景写真術」「星と月の撮り方入門」インプレス・「蛍の本」日本写真企画がある。 (社)日本写真家協会・日本自然科学写真協会会員
記事で紹介された製品
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SP 70-200mm F/2.8 Di VC USD G2 a025(Model )
SP 70-200mm F/2.8 Di VC USD G2は高い評価を頂いてきたSP 70-200mm F/2.8 Di VC USD (Model A009)」から、第2世代「G2」として、さらなる進化を遂げた望遠ズームレンズです。光学性能の向上、最短撮影距離の短縮、手ブレ補正機構の強化、AFの高速・高精度化、そして別売のテレコンバーターへの対応など、あらゆる性能・機能が進化を遂げています。