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技を極める レンズ原器
技を極める レンズ原器
技を極める レンズ原器
技を極める レンズ原器

技を極める レンズ原器

高精度な原器が、高品質な光学レンズを実現する

レンズ原器とは、字義どおり、あらゆる光学レンズに不可欠な、基準となる原点。それと同時に、総合光学機器メーカーとしてのタムロンの原点でもある。およそ半世紀前の1966年に、本社工場で原器の生産を開始。1986年、本社から移管され、浪岡工場(当時)で生産されるようになった。超高精度原器の生産は、現在でも自動研磨機では不可能であり、熟練を要するオスカー式研磨機を用いた伝統的な技法によって行われている。現在の青森工場(浪岡サイト)で大切に使われ、日々動き続けているオスカー式研磨機は、本社工場から移設されたものであり、クラフツマン・シップの継承を物語るものでもある。凹凸で一組となる元原器を重ね合わせると、ニュートンリングと呼ばれる干渉縞が生じる。本数が少なく周辺まで癖のない直線の美しいニュートンリングは、世界でも数少ない高精度の原器製造技術を持つタムロンの、自信とプライドの証だ。

継承されるタムロン原器

原器には、元原器と工場原器がある。実際に作業現場で検査のために用いられる工場原器は、傷ついたり破損する可能性があるので、基準となる元原器は大切に保管されている。青森工場(浪岡サイト)の一角には、1Rから4000Rまで2000組に及ぶ、タムロン原器と呼ばれる元原器が保管された部屋がある。この圧倒的な種類は、先輩から脈々と引き継がれ、蓄積されることによって生まれたもの。汗と涙とクラフツマン・シップの結晶であり、宝物のように大切に扱われている。

多様な要望に応え、原器を量産

オスカー式研磨機は、ガラス素材と研磨皿をこすり合わせる機械。研磨皿の形がそのまま原器のRに反映するので、状態を読み調整する、目と指先による繊細な判断が要求される。現在青森工場(浪岡サイト)で原器製作に携わるのは9人。あらゆるオーダーと、厳しい納期にも対応することができる精鋭たちだ。製品の精度に直結する原器の精度は、一切の妥協が許されない。多くの企業の光学設計者からの、さまざまな種類の依頼に応じて、この工場から高精度の原器が生まれていく。

すべての原器で高精度を保証

原器の種類は、R(アール曲率)で表現される。曲率とは、球面をしたレンズ面形状の曲がり具合であり、数値が小さくなるほど面のカーブは強く、逆に、数値が大きくなるほど面のカーブは緩くなり平面に近づいていく。原器の製作とは、研磨皿を調整し、必要とされるRにレンズを「入れ込んでいく」こと。レンズの精度が低いと、中が出っぱっていたり、端が落ちていたり、でこぼこしてしまう。もちろん、このでこぼこによるアス、クセは肉眼で見ることができない僅かなものなので、ニュートンリングによってアス、クセを読みつつ、研磨していく。できあがった原器の精度は、最終的な測定で使われる干渉計の光源の波長λ(ラムダ)で表現される。タムロンではすべての原器でλ/10*という高い精度を保証している。

*λ/10とは、波長の1/10以下(約60nm[ナノメートル]以下)のでこぼこしかない状態であることを表す。

脈々と受け継がれるタムロンの技術力

原器を完成させるレベルの技術を習得するには、十年単位の歳月を要する。マンツーマンの指導によって、目と指先で精度を読む、微妙な感覚を身体化していく。原器製作に不可欠なもの、それは忍耐と根気だという。いつかは必ず技術を習得できることを信じ、日々研鑽を重ねることの先に、ようやく高精度を体得する世界が開ける。原器製作に携わる熟練工は、ニュートンリングを読むことで、タムロン保証と呼ばれるλ/10もの高い精度を出す技術を持っている。

不可能を可能にする信念

これまでの技術を超えた厳しい要求に応えることで、技術のレベルが上がっていく。1R以下のカーブがとてもきつい小径原器は、オスカー式研磨機が使えないので、すべて手作業で製作していくことになる。現在のところ、0.6Rまで作った実績をもつ熟練工がいる。また、基準としているλ/10を超えるλ/15の精度を出せる熟練工が複数名いる。1R以下やλ/15の世界は、肉眼と指だけでは到達できない、次元の違った領域だ。不可能を可能にする信念の先に、干渉計で計測してはじめてわかる水準の精度が実現される。

技術力への自信とプライドを凝縮

破損や怪我の防止のために、鋭利な角を削る加工を、面取りという。タムロンの原器には、必要最小限の面取りが施されている。面取りの幅が広ければ広いほど、周辺部分はそれに隠れる。必要最小限の面取りは、加工の難しい周辺部分も、きちんと高い精度が出ている証でもあるのだ。実用的には問題のないレベルの傷も入らないように、細心の注意を払って仕上げられた、タムロンのレンズ原器の美しさには、自信とプライドが凝縮されている。

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技を極める Master the Technique