すべては「新しいレンズのための、かつてないデザインを」という一言から始まりました。まず、タムロンの経営陣、開発者から海外現地法人まで、多くの人々にインタビューを行い、必要なことは単なる新製品のデザインではなく、タムロンの新しいカタチを描き出すことだという確信を得たのです。
私たちは先端技術と、技術と人の接点であるデザインを融合させるべく、「デザイン・エンジニア」として活動しています。カメラのレンズはまさに最新技術の象徴ともいえる存在ですが、今回はタムロンの技術力を支える人々の息吹がレンズを手にする方々にも伝わり、さらなる愛着を呼ぶような「ヒューマンタッチ」が重要だと考えました。
その上で注目したのが、かつてのタムロン製品のシンボルだったリングです。リングは古代文明においては指や腕、首など、骨と骨をつなぐ関節を守る魔除けであり、現代でも結婚などの大切な“関係の証”として用いられています。そこで、レンズとカメラをつなぐ関係の証となるリングを、マウント部にデザインすることにしたのです。当然、新しい構造を採用するわけですから、機構設計の緻密な調整作業が必要になるなど、外見だけに留まる話ではありません。しかし、これによって新ラインナップのどんなタイプのレンズにも、同じ位置に美しく輝くルミナスゴールドのリングが現れる。そしてそれが、新しいタムロンそのものを象徴する証になると考えたのです。
また、フォルムには有機的な曲線を用い、親しみやすさ、馴染みやすさを考慮しました。レンズボディには金属を採用し、高性能・高品質にふさわしいものに。スイッチ部分は大きくすることで、柔らかな感触を実現。記載された文字の書体も一からデザインし直し、より見やすいものへ。あらゆる人に使いやすく、ユーザーフレンドリーなデザインを追求しました。
タムロンとお客様の、新しい関係を作り出す試み。ヒューマンタッチから始まる、かつてなく豊かな体験が、このデザインに込められているのです。